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【公開記事】個人的ソウルフード(塔2024年11月号「わたしの休日」欄)

このコラム(結社誌「塔」のコラム)の偶数月担当の方が、八月号で「かすうどん」について書いておられた。大阪のソウルフードとのことなのに、生まれも育ちも大阪の私は食べたことがない。焦ってしまったが、南大阪が起源らしいので、北寄りに暮らしていた私の周囲にはなかったようだ。近々ぜひ食べてみたい。

京都ではたぬきはきつねのあんかけであげはきざみでふうふう熱い
          山下洋『オリオンの横顔』

うどんと言えば、京都でたぬきうどんを注文すると出てくるのがこれ。え、天かすじゃないの?と関東の方は思うだろうが、私もまた首を傾げる。たぬきと言えば蕎麦と相場が決まっているのが大阪。お隣でも全然違うのだ。果たして他のエリアでは一体何が出てくるのか?

では私の個人的なソウルフードは何かと考えたら、お好み焼きが浮かんできた。もちろんお店で食べることもあるが、子供の頃、休日のお昼によく家族で作って食べたのである。

生地は普通の小麦粉に水と卵と塩少々。そこにキャベツの千切りを加えて箸でぐりぐりと混ぜる。フライパンに油をひき、豚こまを炒める。そこに先ほどの生地を投入。きれいに丸くならなくても気にしない。上下を返して焼けたら、マヨネーズとケチャップを塗る。かつお節、青のり、更にソースをかければできあがり。ああ、書いていると無性に食べたくなってきた。

熱々を食べたいので、焼けたら先に父と私が食べ、母がまた一枚焼いて食べる。テレビでは高校野球なんかが流れている。あの時、がやがやと何を喋っていたのだろう。思い出すその時間はからりと明るい。

今、冷蔵庫には豚肉とキャベツ、卵がある。なんや、小麦粉買ってきたらお好み焼きできるやん。ちょっと買ってくるわ。


結社誌「塔」で2024年7月号からコラム「わたしの休日」欄を担当しています(奇数月担当)。
ひと月遅れでこちらの記事を公開します。

※前回の記事はこちらです。


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