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Dior展

クリスチャンディオール展に行った。
年末年始休み期間より前の平日に行ったのだが大盛況により、チケットを買うには開館時間から並んだ。会期初日にフラッと行ったのだが、当日券は売り切れ。せっかく清澄白河まで行ったのに何もせず引き返すことになったので、リベンジ日には10時から並んだ。

展示は素晴らしかった。言語化しやすい所から言うと、会場構成や意匠がいい。美術館の展示然としない、ドレスとそれに纏わる展示物と一体となるコンセプトの設えにより、空間そのものを楽しめる展示となっていた。展示されたドレスもさることながら会場の意匠にかなりの熱量を感じる空間もあり、圧巻であった。どんな人にもぜひ体感して欲しいとおすすめできる内容だ。

Diorの歴代クリエイティブディレクターが手掛けたドレスがそれぞれまとめて展示されているエリアでは、日常ではまるで出会わないであろう重厚でシックな、または軽やかで儚げなドレスがそれが当たり前かのように展示されていて脳が混乱する感覚があった。布ってこんなにも美しくなるのだなぁと感服する。
「トワル」というコットン生地で組まれたドレスのモックアップが展示された空間は最高だった。本来はモックアップなのだろうが、白い生地でドレスの骨格が浮き彫りになった姿が上から下まで前から奥までずらっと並ぶ様は圧巻だ。素体、無垢。素材で変換される前の思想段階のドレスはどれもその時点で美しかった。コンセプトの段階で美しい、そういったモノゴトを目指したい。

Dior展、撮影OKにより撮ったいくつかの写真を見せながらぜひ行ったほうがいいよと周りに薦めても、なんだか反応が薄い。私はプロモーターではないので別にいいのだが、地続きの異世界に想いを馳せることのできる夢のような空間だ。映画一本みるのと同等の値段、きっと後悔はしない。
「行ったほうがいいよ、なの?」
という煽りもあり、そういう意図の話題ではないのだがと思ってしまう場面も生活感があり良かった。

いくつもの種をあの丘へ浮かべてきれいな花を敷き詰めてあげる、なんてどこで思い浮かぶのだろうか。
私は目の当たりにしたことしか自分事に引き寄せられない。あの丘に行ったことはないけれども、思い浮かべたことはある。
イブサンローランって、ジョンガリアーノって、Diorのクリエイティブディレクターだったんだぁ。なんとなく朧げに知ってそうなことが自分事になった瞬間があり、また少し世界に神経が通う。歌舞伎町でよく見るあのバッグ、Lady Diorって言うんだぁ。些細な事だけれど、何がアイデアの種になるかわからない。ドラムを習って、スナッピーの調整の仕方を目の当たりにしたりして「スナッピー」が頭の片隅になければ、仮歌でスナッピーと入れていたブラッキーという曲は生まれなかった。

すごいものを見た。このドレスがしっかりと活きる世界というのが、自分の立っている場所の地続きにあるのだなぁと考えさせられる。そこに行きたいだろうか。大事なものを投げ打っても?それでも、凛とそこに立つシックで眩いドレスが頭から離れない。とても良かったです。

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