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ブラッドメルドーになりたい

初台オペラホールでブラッドメルドー公演を観まして、もしもピアノが弾けたならと思いました。
次のアルバムはピアノソロにしようっと、と思いながら、目の前でピアノ一台で奏でられる色鮮やかな世界観を2時間弱たっぷりと味わうことができました。ピアノが上手な友人と隣席だったので、こりゃ後で感想を言い合うのが楽しみだなぁなんて思いながら素晴らしい演奏を楽しむことができ、一人で来なくて良かったとも思いました。
内側に響くというか、創造力を掻き立てられる音楽で、自分の理想の未来像が走馬灯のように駆け巡る時間が続いていたなぁ。凄い音楽に触れるの幸せだなぁと思いますね。バンド編成がどうとか、関係ないですね。
ピアノ一台でコンサートホールをパンパンにできる、動員がどうという視点ではなくて、楽器のインプロ演奏でその多くの観客の心を惹きつけ魅了するパワーエナジー凄み迫り来る繊細さを見せつけられましたしトリプルアンコールにも応えてくだすって、そのサービス精神でちょっと会場も笑っちゃうくらい湧いてましたね。
あー、今日も行っちゃおうかなぁと思うくらい良かったなぁ。

ピアノはその場所に座りさえしてしまえば10つの音を同時に出せる。ギターは持ち運びに便利だが同時発音数は6つ、ただし直接弦に触れることができるのでニュアンスは付けやすいが、ニュアンスを付ける際は1つか2つの音に集中することがほとんど。ピアノはサスティーンペダルがある、これもずるい。同じ効果をギターでやろうとすると他と弦に触れない高度な技術がいるし、アルペジオなど奏法が限定されてしまう。ゲームボーイのlsdjは同時発音数4だがそれぞれ別の音色が出せるので4つだけで曲としてなりたつ。それはそれで素晴らしいことだ。
何が言いたいかというと、ギターでベースラインもメロディもリズムも、という奏法も沢山あるしみんなやっているけど、それは私が好きなギターではない、ということ。ギター独奏はやりたいことではない。

ピアノはピアノの音しか出ない、それが良い。単純明快だ。単色の、濃淡で世界を描くようだ。そういうことはもちろんギターでもチャレンジすることはできるのだけど、ブラッドメルドーの演奏を目の当たりにしてしまうとすごすぎてうわーピアノには敵わんと思ってしまう。
ピアノソロの公演を選んで良かった。
家にピアノあって良かったー!自分の声にピアノが合うっぽいと直感して衝動買いした、結局弾かなくなってMIDIキーボード用途になってしまった88鍵のP125が火を吹きます。こういうことがあるから自分の衝動買いは信用できますね。4年越しに役に立つ。
ワンマンライブでピアノは弾いたけれども、あんなのは鍵盤叩けばそりゃ音は出るでしょみたいな演奏だったのでそんなことよりブラッドメルドーになりたい。どうやって弾いてんのこれみたいな怒涛の音数ミサイルを飛ばしたかと思いきやそこから急に静謐なリバーブで包み込んでくれたりするので、なるほどなるほどピアノってこう使うのね!!と脳汁が出たわけですね。どうやって練習するんだろうなぁみたいに考えながら、なぜかピアノ演奏に前向きな自分が不思議。自分の曲を必要最低限弾くくらいだったら出来るけど、今のちーちーぱっぱ状態からソロ演奏でインプロで聴けるレベルまで引き上げるとなるとどんな練習メニューがいいのかなぁなんて考えながら見ていた。

ずっと前から絵を描くように音楽を作りたいなって思ってたしキースジャレットの独奏がそれに一番近いなあなんて思ってたけどそれだと同じことになってしまうなぁと二の足を踏んでいた。でもブラッドメルドーの独奏を観て、あぁやっぱコレかもなぁと腑に落ちてしまった。ギター主体の音源出したあとだからかもしれない。音楽を奏でるように絵を描きたい、と思ってる人もいるだろうなぁ。いざやろうとすると、壁があるものなんだよなぁ。

なんかギター触ってても全然曲できないようになってしまってて、もちろんこんな風な曲作りたいなってのも最近あったけどあんまり自分のテンションと噛み合ってなかったりして、そうなると行動するに至らないんですよねぇ。そこにブラッドメルドーの強風が吹いてきてしまったので、ピアノだよなぁなんて思ってしまったわけです。次のアルバムはピアノ。5年後です。

写真は東京ステーションギャラリーで見た佐伯祐三展、のチケット。最近では珍しく写真NGだった。快適。美術館で写真OKは日本に馴染まない感じがする。アメリカの美術館はだって広いもん。小さい美術館である程度引いた距離から作品にカメラ向けられると流石に横切るの気遣うし、スマホのカシャがうるさいし。ま、自分も撮っちゃうけど。
そんなことより佐伯祐三展めちゃくちゃ良かった。独特の力強い画風、厚塗りの油画。物の捉え方がなんか佐伯祐三。なにがどうなってこのオーラを醸し出しているのかはわからないが、迫り来る絵画に対する情熱を感じる。とはいえ直前にイラッとすることがあったのであんまり集中できていなかった。常にベストコンディションで物事に取り掛かることは難しいものだと感じた。全然頭に絵が入ってこない。
期待を裏切られると、その事がめちゃくちゃ気になる人間なのだなぁと自覚した。

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