きれいごとかもしれないけれど（詩）

きれいごとかもしれないけれど
ぼくはちょっと臆病だから　
人の気持ちの上ずみの
すきとおって　きらきらしている　思いだけを形にしたい　
気持ちの本音の姿は
猥雑で耳をふさいでしまうものだから

きれいごとかもしれないけれど
ぼくはちょっと恐がりだから
人は少し離れたところから
その人の　いいところだけを　見ていたい　
人間の本当の姿は
無様にも目を覆ってまうものだから　

きれいごとかもしれないけれど
ぼくはちょっと弱虫だから
世界の誰とも戦いたくない　
戦うなら　いさぎよく　負けていきたい
社会の真実の姿は
あてどもなく血の匂いがするものだから

きれいごとかもしれないけれど
ぼくはちょっとぼんやりだから
どんな景色であっても
目に映るものすべてを　いいなと思って　見とれていたい
自分の素の姿は
ただの幻でしかないものだから

救世主にはなれなくて