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10月29日(日記)水墨画をやろうかな

晴れ
昼下がり、秋の日差しが作るベランダの観葉植物の影を眺めていたら、急に情趣が湧いてきて、何だか無性に画(絵)を書きたくなった。

しかし、自分は何しろ画が下手で、テレビで「絵心ない芸人」などをやっているが、家族からも、もし番組があれば「絵心ない小説家」として、充分出られる資格があると言われてきた。

真剣に描いたのに、出来上がりを見せると必ず笑われてしまう。今でも、犬や馬を書いてみろと言われたら、みんな同じロボットのような絵になってしまうだろう。

そんな自分でも、絵画を見るのが好きなので、そのうち鑑賞眼が培われて突然覚醒するかもと思っていたが、未だ全然だめのままである。

ところで、同じぐらいにセンスがない字であるが、先日鉛筆の握り方を変えたら、急に文字が上手くなった(気がする)。あの、悪筆が嘘のように自分の字が読める。

そうか、握り方か。ゴルフでも野球でも、握り方ですべてが変わるらしい。

で、その流れで、ふと習字をやろうかなと思った。この数年、雪舟、与謝蕪村などの書画(特に文人画)が妙に気になっていて、ずっと自分も何か墨汁を使って書きたかったのだ。

そして、前述の影を見た瞬間、そうだ画を描こう。それも「水墨画を」と、いたって安直な流れだった。

ただ、ほんの思いつきで飽きそうなので、道具を買いそろえるまえに、YouTubeでいろいろ墨絵についての動画を見てみる。

やはり、上手い。先生なんだから当然なんだけど、龍とか、竹林とか、雲海をスルスルと書くのを見て、とても自分には書けないと思った。ここまで行けるのに、何十年かかるやら。

しかし、俳句を詠み始めて数年、何とかわび、さび、などの気持ちがわかるようになった。
そう、何気ない世界や、景色や、当たり前のモノにこそ美があり、それを見出すことの楽しさに気づいてしまったのだ。そして、その先にある「やまとごころ」を。

墨絵は挫折するかもしれないけれど、この先の自分が目指す文学的な境地が何となく見えただけでも、何だか得したような気がした。

〝 爽やかな 風に吹かれる 木々の影 “  







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