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LINEヤフーがBEENOSにTBO、買付価格4000円の決まり方
LINEヤフー株式会社がBEENOS株式会社へのTOBを発表した。
BEENOSはこれに賛同しており、いわゆる友好的なM&Aとなる。
買付予定の下限は約66%で上限は設定されていない。
TOB成立後は少数株主に対するスクイーズアウトを実施する見込みのため、殆どの株主が応じると思われる。
買付価格は4000円/株、100%ベースで約540億円となる。
さて、上場企業を買収する際に行われるTOB。
分散している既存株主たちから株式買付に賛同してもらうため、価格にはプレミアムが付くことが多い。
本件では、TOB発表前日の12月18日終値は3370円。
これに対して買付価格は約18%のプレミアムが上乗せされている。
この価格はどのようにして決められたか、リリース内容からかいつまんで以下説明。
公開買い付け価格は、10~50%程度のプレミアムを乗せられることが多い。
その前提において、まず本件はみずほ証券が、①市場株価基準法と②DCF法を用いて株価を算出している。
①市場株価基準法はそのままの算定方法で、対象会社の市場における株価をベースに算定する。
本件では算定基準日は2024年12月18日とし、終値や過去1~6ヶ月間の平均値を考慮して2,771円~3,482円と算出。
②DCF法は将来に渡って対象会社が創出しうるキャッシュフローを、現在価値に割り引いて算出するというもの。
シナジー効果や2025年以降の収益予想も反映され、株式価値の範囲が3,805円~4,934円 と算定。
株価算定は大きく分けると、「A市場株価に基づく方法」「B類似会社比較法」「C収益還元法」「D純資産法」の4通りがあり、このうちAとCが採用されたことになる。
この2つをまとめると、株価は2,771円~4,934円が妥当、というのがまずは初期的な考え。
これらの算定方式に加え、2024年10月下旬から11月下旬にかけてBEENOSに対してデュー・ディリジェンスが実施されて、その結果が加味。
最終的に各所との交渉・調整等を踏まえて、4000円という株価が決定。
プレミアムとしては以下のようになる。
公表日前営業日の終値(3,370円)に対して 18.69% のプレミアム。
過去1ヶ月間の終値平均値(3,482円)に対して 14.88% のプレミアム。
過去3ヶ月間の終値平均値(3,066円)に対して 30.46% のプレミアム。
過去6ヶ月間の終値平均値(2,771円)に対して 44.35% のプレミアム。
4000円はここ半年の株価に対して10~50%程度のプレミアムを載せることになり、かつDCFで算定された株価レンジ(3,805円~4,934円)にも収まることから妥当な金額として設定されたと考える。