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EBITDAが一般的な指標として用いられるように【M&A日記】
EBITDAはM&Aに関わっていると必ず使われる言葉。
イービットダ、イービッター、イービットディーエーなど読み方は何故か人それぞれ。
昨今、この言葉がかなり民主化され、一般的に用いられるようになってきた。
更には上場企業が買収する際のリリースにて、対象会社の直近3年間の経営成績と財政状態を公表されるが、そこにEBITDAが記載されることが多くなってきた。
EBITDAが記載されている要因としては、株式価値の算定方法が数多ある中で、EV/EBITDAマルチプルという方法が用いられているため、と思われる。
元来ファンドが活用していた評価方法で、事業会社は純資産ベースの年倍法活用することが多かったが、昨今は事業会社もEV/EBITDAマルチプルを用いるようになってきた。
さて、そもそも何故EBITDAが用いられるのか。
キャッシュフローに近い指標:
EBITDAは、企業の本業の儲けを示す指標で、利息、税金、減価償却費などの影響が排除されている。
これにより、企業が日常的な営業活動から生み出しているキャッシュフローに近い指標となる。
M&Aでは、買収先の企業がどれだけキャッシュを生み出す力を持っているかが重要なので、EBITDAがよく用いられる。異なる会計基準間での比較が容易:
減価償却や金利負担、税率は企業や国、会計基準によって異なるが、EBITDAはこれらの影響を取り除くことで、異なる企業同士の比較がしやすくなる。
特に、異なる地域や業種の企業を比較する際に役立つ。買収後のキャピタルストラクチャーに依存しない:
EBITDAは、利息(Interest)を除外しているため、企業の資本構成(借入金の額やエクイティの割合)に左右されない。
これにより、買収後に資本構成が変わることを想定しても、企業の基礎的な収益力を評価しやすくなる。
買収時のバリュエーションでは、資本構成に依存しない指標の方が使いやすい。減価償却の影響を排除:
M&Aの対象となる企業の中には、減価償却費が多額になる場合がある。
例えば、資本集約的な企業や、設備投資を積極的に行ってきた企業など。
こうした場合、減価償却費が利益に与える影響を排除することで、企業の本業の収益性をより正確に把握できるのがEBITDAである。簡単に計算できる:
EBITDAは、財務諸表(特に損益計算書)から比較的簡単に計算できる。
投資家やバイヤーが迅速に評価を行う際に、シンプルな指標として有用。
これらの要因から、EBITDAを指標とするEV/EBITDAマルチプルが、バリュエーションにおける優先選択肢になってきていると思われる。