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株価評価といくらで売れるか?は別物【M&A日記】

株価評価には大きく3つの方法がある。

  1. マーケット・アプローチ

  2. インカム・アプローチ

  3. コスト・アプローチ

この3つについて詳細を知りたい方は、Googleで検索すればいくらでも出てくるので、私より説明の上手なサイトを見つけてほしい。

M&A会社としては、会社の価値を算定するというのは必ず発生する仕事。
この3つの中には、またさらに複数の具体的な算出方法があるのだが、その中から適当な方法を選出して、算出する。

算出方法によって、同じ企業の数字を用いても、結果は大きく変わる。
株価評価というのは何もM&Aのときだけ使うものではなく、例えば会社の株式を子供に贈与するとなれば、贈与税を計算するための株価評価が必要となる。
この場合は税金をなるべく少なくしたいので、株価が低くなるような方法を用いるだろう。

M&Aでは、株価を低くしたいということはあまりないので、高い株価が算出されるような方法をとりたいところ。
しかし、以前に「最も理論的と言われるDCF法が、M&A現場ではほぼ活用されない訳」という記事を書いたように、高い評価が出たころで、その価格が市場に合っていなければ誰も買ってくれないので、意味のない評価になる。

昨日の記事でも書いたが、M&A会社が無料で株価算定しますとか、M&A会社の比較サイトが一括査定します、というのは結局は自社で契約を頂くことが目的なので、高値の評価になってしまいがち=売れない非現実的な価格。

でも改めて考えてみて、そもそも株価算定と会社がいくらで売れるか?というのは、意味が違うから、あながち一括査定というのもおかしくはないか、と思った。

無料で株価算定しますとか、一括査定しますというのは、あくまで理論上の株価評価をしますと言っているわけで、いくらで売れますということはそもそも言っていない。

ただ、売主からしてみれば、株価算定=売れる価格、と捉える。
この誤解を解かずにそのまま契約してしまい、いざ動いてみて全然価格感が違うと、売主からすれば「話が違う」となるので、株価算定といくらで売れるかは意味が違う、という説明は必要だろう。

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