決算書って何のため?【M&A日記】
決算書は税務のために作るものと考えられている中小企業経営者が多い。
税額を計算するために作るものという捉え方。
これは間違えだ。
その一番の根拠は、決算書の利益と税務上の利益は必ずしも一致しないこと。
決算書の中では経費算入させていても、税務的には経費算入は認められないものがあったりする。
例えば企業買収した時の「のれん」。
のれんは会計上は減価償却するが、税務上は損金として認められない。
なので、決算書では経費算入されるが、税務的にはされない。
こういうことがあり、課税対象となる利益と、決算書上の税前利益は必ずしも一緒にはならず、決算書が税務目的で作られているものではないということが分かる。
じゃあ何のために作られているかというと、経営状況を把握するため。
決算書を見ることで、社内外の人間がその会社の現状、経営状況を把握できるというのが一番の目的。
しかしながら、決算書を読むことのできない中小企業経営者は非常に多く、その目的から考えると本末転倒の状態にあることが多い。
多くの中小企業経営者はオーナー経営者なので、2つの重要な視点がある。
オーナー=株主の立場としては、主に貸借対照表(バランスシート=BS)を見て、純資産の推移が重要となる。
貸借対照表は左側が資産、右上が負債、右下が「株主資本」と呼ばれるように、右下の株主資本=純資産は株主のもの。
純資産には毎年の営業活動によって残った税引き後当期最終利益の額が加算される。
なので、利益を出し続けている会社は、純資産がドンドン膨らんでいき、即ち株主資本が大きくなる。
経営者というのは、株主に経営を委任される立場だ。
なので、その役割としては、損益計算書において着実に利益を出す経営をして、株主資本を増やしていくことにある。
利益を出せなければ、経営を委任されている株主の株主資本を増やすことができないということなので、即ち役不足という烙印を押されることになる。
このように決算書を通じて、会社の経営状況を把握することができる。
これは外部の人間、例えば銀行が見ても同様。
ということは、経営者としても決算書は読めないといけなく、社外の人が見たときにどう思われるかを想定した経営や、更に会社を発展させるためにという発想を持つことが必要だ。