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あの頃からズレた未来

「死にたくなったらLINEして」
彼女はわたしにそう言い残してこの世を去った
死にたかったのは彼女だったのに
それを見抜けなかった自分はどうしても未熟で
言い残された言伝を羅針盤にわたしたちはこの世を渡っていく、いこうとする
先生と性的逸脱をして袖で目の前を見えなくする
わたしがこの世に産まれなかったら先生とセックスすることも無かったし墓場まで持って行ってそんなところに捨てないで覚めないでいて、ネオン街の真ん中に立ったあんたはよくやったと思うよ
10階から飛び降りた彼女はぐちゃぐちゃになった
鮮明に思い出したいあの頃のこと
涙で滲んだ視界に映る景色はさほど綺麗ではなくて
わたしたちが普段生活しているこの世の中にある些細な歪みによって引き起こされる誰かにとっての不都合が世界を一変するには十二分であることとか
ままならないねわたしたち、本当に

言葉で言い表したいことほど言葉にならなくて喉につっかえたまま魚の小骨みたいに取れなくて、あーもーやだってほど聞き飽きた日常の中にいるわたしたち、どうやって生き延びるよ?あともう少しでやたら遠い天井に手が届くその時まで、わたしいい子にしてるから見捨てないでいて、ほしい、ぼくらのし放題わがままワールド
恵が逝ってしまったときわたしはそばにいられなかった、赦されたい赦されるならば
わたしが助けたかったあの子のことを思えば思うほどわたしが雁字搦めにされるという事実、甘えている、わたしがなりたかったあの子は泡沫のように消え行ってしまった
そこに行けないからって容赦のないないくらい首を絞められたらわたしはおまえのことをぶん殴り続けたいよ、
思ってるほど世界はわたしたちに優しくはなくて、わたしだって世界に優しくできない、どうしたってそこに歪みができるのはわたしが抱きしめたい過去の数々を持て余してるからで
信じたいよ世界、きみたちがもう放っておけないくらいわたしのこと愛してくれるならば抱きしめる、忘れていく掴みたい未来も含めて一切合切包丁ぶん回してでもわたしが切り開いてみせる、だからわたしからほんの数ミリのズレた未来を奪っていってしまってほしい、そこから始まる今からのわたしの物語をわたしが始めるんだ


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