幻想的な霊界旅行⁉宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』②
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6月第2作目には、宮沢賢治の童話、『銀河鉄道の夜』を取り上げます。
『銀河鉄道の夜』は宮沢賢治の代表作の一つです。
孤独なジョバンニが、友人カンパネルラと銀河鉄道の旅をする物語。
大正末から書き始められ、晩年まで推敲が続けられましたが、賢治の死去により、未定稿のまま遺されました。
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
――幻想的な霊界旅行⁉天上の世界へようこそ。
宮沢賢治(1896~1933)
〈書き出し〉
「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」
先生は、黒板に吊るした大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指しながら、みんなに問をかけました。
〈名言〉
なにがしあわせかわからないです。
ほんとうにどんなつらいことでも
それがただしいみちを進む中でのできごとなら、
峠の上りも下りも
みんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。
※あらすじは、第一回解説をご参照ください🌸↓↓
【解説】
妹の死がきっかけで誕生した最高傑作
『銀河鉄道の夜』は、宮沢賢治の人生の中でも集大成であり、最高傑作とも称される作品です。
宮沢賢治は、最愛の妹であるトシを結核で亡くしたのをきっかけに、『銀河鉄道の夜』を書いたと言われています。
トシは賢治の2つ年下の妹で、4人いた弟や妹たちの中でも、賢治ととりわけ仲が良かったようです。
賢治の日蓮宗への信仰や文学的才能をよく理解していたトシは、生涯独身を貫いた賢治にとって、精神的な支えとなる存在でもありました。
24歳と言う若さでトシが亡くなったことは賢治に大きな衝撃を与えました。
そのため、『銀河鉄道の夜』の隠れテーマは、人間の「生」と「死」について。
主人公が霊界旅行したとも思える、とてもスピリチュアルな作品です。
ジョバンニは賢治で、カンパネルラは妹のトシを投影しているのでしょうか?
トシの魂を追い求め、死の世界を考え続けた賢治だからこそ生み出せた作品なのかもしれません。
賢治は『銀河鉄道』に乗ることで、妹と最後に語らう世界を思い描いていたのでしょうか。
「死」の悲しみと向き合い、前に進む勇気を与える作品
主人公ジョバンニはこの世の人間ですが、大切な友人のカムパネルラは、実は「死」を経験しています。
後に明らかになることですが、物語はこのカムパネルラの「死」を中心にストーリーが進められていきます。
銀河鉄道を走る列車は、天上界(あの世)に死者を運ぶための存在。
乗り込んでくる人々は、それぞれがジョバンニに「生と死」の意味を何らかのかたちで伝える役目を担っています。
銀河鉄道に一緒に乗っていたカムパネルラは、友人を助けるため、自分の命を犠牲にしたことが明らかになります。
カムパネルラの父は、自分が悲しいにもかかわらず、ジョバンニに父親の無事を知らせ、思いやります。
そして、ジョバンニが今後、悲しみを乗り越えることを予感させるところで、物語が終わります。
『銀河鉄道の夜』は、大切な人を失った悲しみに寄り添い、死と向き合い、前に進む勇気を与えてくれる作品ではないでしょうか。
『銀河鉄道の夜』に見る宮沢賢治の思想
賢治の『銀河鉄道の夜』が、大人にとっても深い学びに満ちているのは、作品の至るところに、賢治の思想が散りばめられているからだと思います。
・「生と死」について
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