近代日本文学を代表する傑作―三島由紀夫の『金閣寺』①
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11月第1作目には三島由紀夫の小説、『金閣寺』を取り上げます。
『金閣寺』は、1950(昭和25)年七月二日に、実際に起きた金閣寺放火事件をもとに書かれた小説です。
鬼才・三島の全青春をかけた総決算にして、近代日本文学を代表する傑作として、海外でも高い評価を得ています。
『金閣寺』……鬼才・三島の全青春の総決算にして、近代日本文学を代表する傑作
三島由紀夫(1925~1970)
【書き出し】
幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。
私の生れたのは、舞鶴から東北の、日本海へ突き出たうらさびしい岬である。
父の故郷はそこではなく、舞鶴東郊の志楽である。
懇望されて、僧籍に入り、辺鄙な岬の寺の住職になり、その地で妻をもらって、私という子を授けた。
【名言】
【あらすじ】(前編)
私は舞鶴の東北にある、日本海に面したうらさびしい岬で生まれた。
父は僧侶で、私も将来は僧侶になると漠然と考えていた。
私は生来、吃りがあり、体も弱かった。
そのせいでからかわれることも多く、やがて、人に理解されないことを誇りにするような人生観を持つようになった。
私が幼少のころから、父は折りに触れ、「金閣」の話を私に語った。
私は舞鶴に近い叔父の家から中学に通っていたが、部屋から望む小山が夕日に照らされるのを見るたびに、途方もなく美しい金閣を想像した。
私の中で金閣は完璧な美の象徴となり、美しいものを見ると、「金閣のように美しい」と形容するほどであった。
一方で、私は近所に住む美しい娘、有為子に恋をした。
しかし、彼女は脱走兵の男と恋に落ち、結局、その男に撃たれて死んだ。
時代は太平洋戦争に突入していた。
春休みのある日、父は私を京都に連れて行った。
病魔に冒されていた父は、命ある間に、友人である金閣寺の住職に私を引き合わせておきたかったのである。
「金閣」に会うことができる。
寺の総門までくると、胸がときめいた。
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【仲川光🌸日本文学入門】
日本文学のなかから、近代文学・現代文学などをご紹介します。 作者、書き出し、あらすじ、時代背景を紹介するとともに、解説では、仲川光ならで…
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