思想による殺人……犯した罪は許されるのか?ドストエフスキーの『罪と罰』②
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第2作目には、ドストエフスキーの『罪と罰』を取り上げます。
ドストエフスキーといえば、近代文学を代表する世界的文豪です。
同時代に活躍したトルストイと並び、ロシア文学の世界的存在感を一気に引き上げた立役者でもあります。
長編が多く、内容も難解だと言われていますが、教養としては概要だけでも知っておきたい名作の数々!!
『罪と罰』と共に代表作として有名なのが、『カラマーゾフの兄弟』です。
今回は、話の内容が比較的分かりやすく、考えさせられる議論もしやすい『罪と罰』の方をピックアップさせていただきますね。
それでは、『罪と罰』の世界へ入っていきましょう!
『罪と罰』―思想犯の罪と許しをキリスト教観点から描く世界的傑作
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821~1881)
【書き出し】
七月はじめの酷暑のころのある日の夕暮れ近く、一人の青年が、小部屋を借りているS横丁のある建物の門をふらりと出て、思いまようらしく、のろのろと、K橋のほうへ歩きだした。
【名言】
【あらすじ】【後編)
翌日、ラスコーリニコフはソーニャの家を訪ね、自分がリザヴェータを殺したことを告白した。
ソーニャは彼の首へ飛びついて、両手で堅く抱きしめ、こう叫んで、泣き出した。
「今、世界中であなたより不幸な人は、一人もありませんわ!」
涙の玉が二つ、ラスコーリニコフの両眼からこぼれ出た。
彼は彼女の顔を見つめて尋ねた。
「おまえは僕を見捨てないんだね」
「いつまでも!どこまでも!」
と彼女は答えた。
ラスコーリニコフはさらに心中を語った。
「大学の学費を納め続けられず、退学しなくちゃならなくなったので、老婆の金を没収して、それに充てようとしたんだ。
ただ”しらみ”を殺しただけだ。働いて金を稼げたかもしれないが、僕は意地になって働こうとしなかった。
……そして、僕の頭に一つの考えが浮かんだ。悪魔が僕を誘惑したんだ。」
最後は苦しみに悶えつつ語る彼に、ソーニャは告げた。
「大地に接吻し、『私は人を殺しました』とおっしゃい!
そうすれば神様が、命を授けてくださいます」
数日が経過した。
その間、ソーニャの母がかねて患っていた肺病で亡くなった。
その葬式の日、予審判事のポルフィーリイがラスコーリニコフの下宿を尋ね、
「私はあなたが老婆を殺したと思っている。潔く自首しなさい。
神はあなたに生命を準備してくださった」
と告げて去っていった。
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