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外資系翻訳あるある・これは何順ですか?

これまでの外資系翻訳あるある
直訳は万能ではない
言語が違うと語順が違う(ことがままある)
原文にはない言葉が現れることがある
訳すと長い言葉になってしまう
フォントを侮ってはいけない
100%同じ意味の言葉は他の言語にはない(と思ったほうがいい)
小数点問題

ウェブフォームで入力を簡単にしてくれるものにポップアップメニュー・プルダウンメニューがあります。タイプ入力しなくても、候補を選択すればいいだけの入力方法で、例えば性別、都道府県、国名など、一定の数の選択肢しかありえない項目の入力で使われる手法です。

そこで起こる問題を想像できるでしょうか。

それは国名がアルファベット順で表示されるという問題です。「アルファベットなら、わかりやすくていいじゃない」と思われるかもしれません。

悪い例として古巣をあげるのは心苦しいといいながら何度もあげちゃいますが(汗)、Evernote Business の日本語問い合わせフォームの国名のプルダウンメニューをご覧ください。

一番上に表示される国はアンドラですね。その次はアラブ首長国連邦。確かにアルファベット順です。

細かくいうと、一番上に「昇順」という謎の選択肢が…(2020 年 7 月 13 日現在) 。今回は見なかったことにします…。

では日本はどこにあるか…、と見つけようとするとき、日本は英語でジャパンだね、ジャパンは J で始まりるから、H や I のあとだな、と思うわけですが、表示は日本語でされているため H や I で始まる国名を見つけることはできません。仕方ないので I で始まる国名を考えて、イラン、アイルランド、イタリア、あたりかなぁ、ん〜〜〜、と思いながら探し、目視でジャマイカ、ヨルダン、あ、日本あった!となるわけです。

実際には、ロケーションやウェブブラウザの言語設定などを自動的に判別して、国名は自動的に選択されることも多いので、その場合はプルダウンメニュー内を探し回ることはありません。よって、この問題はそれほど多くの人が経験しているわけではないかもしれません…。

アルファベット順で並んでいるわけですから、英語で表記されていれば頭の文字が同じ国がずらーと並ぶことになり、目的の頭文字を探すのはさほど難しいことではありません。しかし日本語がアルファベット順で並んでいる場合、頭文字に規則性は全くない。要は、ぱっと見で見つけるのがとても難しいのです。

では「50 音順に並べればいいじゃないか」なんですが、そうした国ごとのカスタマイズに対応する会社はほとんどないと言っていいと思います…。本社の言語に大きく左右されてしまうわけですね…。でも、日本に本社がある会社で作ったウェブをローカリする際に、アイウエオ順の国名リストを単純に現地語に翻訳して順番は変えないままにする、なんてことをする会社はおそらく皆無だと思うんです。英語が世界中で使われているメリットをこんなところでも感じます…。

50 音順にカスタマイズしない理由、それは裏にいるデータベースでは英語を基準とした情報が格納されるからです。先ほどの Evernote Business のフォームのソースをのぞくと、
<option value="Iceland">アイスランド</option>
<option value="Italy">イタリア</option>
<option value="Jersey">ジャージー</option>
<option value="Jamaica">ジャマイカ</option>
<option value="Jordan">ヨルダン</option>
<option value="Japan">日本</option>
などと書かれています。表示されている日本語は、あくまでも英語の代わりに表示しているだけであり、この順序を変えるとなるとものすごくマニュアルな作業が必要になるわけですね…。


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