見出し画像

会議革命をつくろうー問題症状が生まれるワケー

1)問題症状を引き起こすものとは

引き続き「会議革命をつくろう!」のテーマでお届けいたします。

前回は会議で起こりがちな問題症状ともに「会議の価値」についてご紹介させていただきました。
・発言者が偏っている
・同じ話題が繰り返される
・結論が出ない
・担当決めの段階になると沈黙する
・脱線する
・結論が先送りされる
これら会議の問題症状にもう長いこと悩まされているという方も、決して少なくないと思います。

今回はこの問題症状を生み出している構造について考えてみたいのですが、先に観点として挙げておきたいのが、問題症状が起こる背景や構造は果たして不変であるのか?
ということです。

私たちの身体に例えて、発熱の症状が発生したとします。
その発熱は風邪によることもあれば、もしかしたら肺炎による発熱である可能性もあり、同じ症状だからその原因や背景にあるものが常に一致しているとは限りません。
症状そのもの以上に、症状の背景の変化や違いを考えてみる必要があります。

まずは、氷山モデルで整理をしてみます。

氷山モデル


《1》出来事
先に挙げた「会議の問題症状」が目に見える出来事として発生しています。

《2》行動様式
会議の停滞を何とかしようとしたり、会議に関する違和感を口に出そうとする/しない、といった、会議参加者の行動を指します。
これは次第に、誰であっても繰り返すパターン化された行動になっていきます。

《3》メンタルモデル
ここでのメンタルモデルとは、意識・無意識の前提や価値観となっていることを指しています。
「面倒は避けたい」「嫌われたくない」「ばかだと思われたくない」等のメンタルモデルが、発言する/しないなどの行動選択に影響を及ぼします。

では、会議における行動様式を引き起こしている根本的な「構造」とはいったいどんなものなのでしょうか。

本題に入る前に、構造について補足させていただきます。
飲料の自動販売機を想像してみてください。
冷たい飲み物、暖かい飲み物が設定されていて、お金を入れてボタンを押すと飲み物が出てきますね。
中に入っている飲料の種類が変わっても、自動販売機は同じ動作をし、同じ結果を生みます。
これが「構造」です。
そして、問題症状とはどういうことかというと、「暖かい/冷たい飲み物が出てくる」ということです。
その会議の構造が同じなのであれば、自動販売機の「つめたい」ボタンを押せば冷えた飲み物がいつでも出てくるように、会議の参加者が誰であろうと「冷えた会議」が何度も何度も出てくる構造があるという事です。

いよいよ、その冷えた会議を生み出してしまう会議の構造を紐解いてみましょう。

2)「会議機能不全ループ」

問題症状を引き起こす会議の構造についてはループ図で示すことができます。

会議機能不全ループ

《1》「環境・状況の複雑性」が、「解決能力とのギャップ」を拡大させる
今日の環境・状況の複雑性の高まりは課題の難易度を高めます。
次第にそれは会議参加メンバーの課題解決能力を超えてしまい、キャパシティオーバーが起こります。

《2》「解決能力ギャップの拡大」は、「会議の生産性」を下げるキャパシティーオーバーにより、解決策、もしくは答えが出しづらくなり、会議の生産性が下がります。
具体的には問題の先送り、集団的手抜き、同じことの蒸し返し・繰り返しなどの問題症状が起こります。
すると、一部の人はその状況を何とか打開すべく、行動を起こし始めます。

《3》「個人頼み&様子見」状態が生まれ、「集合知イノベーション」の発生を妨げる
行動を起こす人の傍らで、その他大勢の人は「自分では手に負えないな」「藪蛇だな」「役割決めされるまで動かないでおこう」など、それぞれ理由をつけて様子見をし、次第に何とかしようと奮闘している人に依存するようになります。
「個人頼み&様子見」状態の蔓延です。
これは集団での解決を模索するのではなく、個人頼みの状況になってしまっているので、三人寄れば文殊の知恵というような「集合知イノベーション」が起こらなくなっていきます。

《4》「集合知イノベーション」が起こらず、「解決能力ギャップ」が拡大する「個人頼み&様子見」を決め込んでいる人の存在は、行動を起こし
ている人の「こんなに頑張っているのになぜ、自分ばかりが」という犠牲者感を強めます。
必死さのあまり近寄りがたい雰囲気を発するにようになり、その様子に「様子見している人たち」はますます手を出さず、その理由を自己正当化し始めます。
そして、行動を起こしている人の孤立感が更に深まっていく。

これが繰り返されると、「どうせ誰も協力してくれないんだ」と怒りや不満が暴発してしまう可能性が高くなります。
強硬姿勢に転じてパワハラ行動を引き起こす、もしくは、そのまま燃え尽きて辞めてしまう、ということが起こり得ます。
ここまで極まっていなくても、みんなで知恵を出し合う状況にはならないでしょう。
先に申し上げた通り、個人で解決できる問題であればまだしも、環境・状況の複雑性が高まって個人の能力を超えた課題が頻発しているのが現在の状況です。
結果、会議の生産性はどんどん落ちていくという「会議機能不全ループ」が加速していきます。

さて、私たちが肝に銘じておくべきことは何なのでしょうか。
それは、私たちの解決能力を凌駕するような物事に対して、従来の「話し合い」はそもそも機能しなくなる可能性が高い、ということだと思います。
答えが出せない課題に対して、協力しない/できない状況は事態を悪化させてしまう可能性があります。

私たちの解決能力を超えているかどうかがポイントだとしたら、そもそも、ただ会議をやるということに限界があるのです。慣れ親しんだ会議のやり方、態度を続けるだけでは、早晩通用しなくなることでしょう。


これからの私たちに問われるのは、会議に臨む態度そのものを現在の状況に「適応」させていく必要があるということです。
会議革命をつくろう、というタイトルにもその意味を込めています。
リトルリーグで活躍していた選手が、リトルリーグのやり方のままメジャーリーグで活躍できるでしょうか?
メジャーリーグで戦えるようになるための練習が必須となるはずで、今回ご紹介した会議に関しても同様です。
今後はそれを皆さんと模索していきたいと思います。


今のあなたの状況を生み出している構造は何ですか?

メールマガジンのご案内
”ビジョン・プロセシング”マガジン「未来からの問い」
ご登録はこちら:https://regssl.combzmail.jp/web/?t=mt23&m=r8v6

★書籍「ビジョン・プロセシング(仮称)~人と組織の『未来と向き合う力』をどう育むか~」予約受付中です。
詳しくはこちら↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?