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イノベーションに欠かせない要素とは?

昨年のことになりますが、ウェルビーイングとイノベーションに関する講演をさせていただく機会がありました。
私はU理論を基にイノベーションについてお話したのですが、その講演の最中に、

「イノベーションについて、何が本当に大切なことなのかは、意外と語られていないのではないか?」

と、いうことに思い至りました。

イノベーションとは、一般的には技術革新や今までになかった新しいもの・展開が生まれることを指します。
中心人物の情熱と行動や、その他さまざまな要素の掛け合わせがあるのですが、その中で本当に大切なこととは何なのでしょうか?

私自身、大企業での新規事業立ち上げ支援など、様々な企業様でイノベーションに関する支援をさせていただくことが多いですが、本当に大切なことが理解されていないために
「そもそも根本がズレている」
と感じることが多々あります。
そのズレはどこから来ているのだろうと思い自分なりに整理してみました。
一つの仮説になるとは思いますが、皆さんにぜひご紹介させていただきたいと思います。
解説と合わせて、今回はマトリクス図を作成しました。




マトリクス図では縦軸を「情熱」、横軸を「能力」としています。
情熱と能力はあって当然のもの、と思われる方も多いかもしれませんが、実は意外とこの条件を満たさずに活動しているケースが多いと感じています。

ここで言う情熱というのは、
「何かのイノベーションを起こそうとしていることに対して強い想いや願いがある」
ということです。
また、「面白いからやる、夢中になれるからやる」ということも含まれます。

もう一つの「能力」というのは、事業創出、イノベーション実現に必要な能力のことで、課題解決力、発想力だけでなく、着眼点やその領域に関する専門性なども含まれるでしょう。

そのマトリクスから、4つのタイプに分類してみました。
1)初志貫徹型
2)瓢箪から駒型
3)頭でっかち型
4)興味先行型
順にご説明していきます。

1)初志貫徹型
ー情熱:有/能力:有
自他ともに夢中になって取り組んでいるし、能力値も高いため何かしらの難題にぶつかったとしても、乗り越えていけるようなタイプです。

2)瓢箪から駒型
ー情熱:有/能力:無
「この問題をなんとかしたい」
「このことに本当に興味がある」
と本人は思っているのですが、はたから見ていると「イノベーションを起こせるほどの能力はないのでは?」と思ってしまうようなタイプです。
しかし、このタイプの方は情熱の勢いでとにかく行動するので、その行動によって次のチャンスを得ている、ということが多く起こっています。
もちろん、夢物語で終わってしまうこともありますが、その情熱は本物だと誰もが納得するようなバイタリティが生み出す行動「量」が、いつしか質」に転換しているということもあります。

3)頭でっかち型
―情熱:無/能力:有
これは大企業で新規事業立ち上げを担当されている方に非常に多いと感じるタイプです。
着眼点は良かったとしても、いまひとつ人の心を動かすまでには至らない。
それは勝ち筋を見極めようとし過ぎるあまり、費用対効果、所謂コスパやタイパ的観点に縛られすぎてしまい「そのプロジェクトは形にならずに終わってしまうだろうな」と思うことも度々あります。
そのため企業での新規事業立ち上げ支援をしているときは「そもそも何でそれをやりたいのですか?」というお話を突き詰めてお訊きするようにしています。

少し話が逸れますが、ベンチャーキャピタリストの方々によると、事業立ち上げ投資をするかの判断の際に創業者の原体験エピソードを聞くことが多いそうです。
予定通りに上手くいく、ということはまずない新規事業をとにかくがむしゃらに続けていくことはできるのか?
困難にぶち当たっても前進し続けられるかどうか?
そのことの判断のために、新規事業をやりたい理由がその人の原体験に根差しているものかどうかを確認するためだそうです。

一方で、「そういう原体験が無いと新規事業立ち上げをしてはいけないのでしょうか」という声を事業立ち上げをされている側の方からお聞きすることもあります。
情熱の有無ではなく、単純に面白そうだから興味を持った、という方もいるのではないかということです。これは
4)興味先行型
ー情熱:無/能力:無
に分類できます。
形にならないケースも多いですが、意外と「出会い」がポイントになり、「瓢箪から駒型」にスイッチしていくことも十分あり得ます。

能力を軽視しているわけではありません。
先に述べた通り事業創出、新規事業立ち上げには様々なスキルが必要です。
しかし、スキルだけが成功要因ではないということも、想像に難くないのではと思います。

私の知人の、とある地域の県議会議員の方から聞いたエピソードです。
選挙出馬に向けて力を貸してほしい、と知人に頼んだとき、
「何で選挙に出るの?」
と理由や意義を根掘り葉掘り聞いてくる人ほど最後の局面で頼りにならなかったけれど、「あなたの訴えはよくわからないが、とにかく手伝うよ」
と言ってくれた人たちこそが、最後の最後まで、喉が枯れるまで声を出し、ビラ配りをし続けてくれるのだ、というお話でした。
能力が有るというだけではなく、最後まで情熱、想いのある人こそがイノベーションを支え、「瓢箪から駒を出す」きっかけを作る存在となりえるのではと感じます。

今回は「イノベーションに本当に欠かせない要素とは?」というテーマからご紹介させていただきました。

  
そのミッションにとって
本当に欠かせないものは何ですか?

     

              

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