成人発達段階の違いが生み出す多様性とは?-発達段階の違いという多様性-
1.成人発達段階の違いが生み出す多様性とは?
◇その3 発達段階の違いという多様性
前回の投稿から時間が空きましたが、本テーマも今回が最後となります。
前回は、価値観の違いと成人発達理論における発達段階の違いについてを以下の通りご紹介しました。
・価値観の違いは「分かり合えない」ことに対して合意出来る、というところまで到達できる可能性がある・発達段階の違いは「通じ合える余地(土壌)がない」、「話し合える余地(土壌)がない」という感覚から為す術なく、分裂や、場合によっては対立に至りやくなる
発達段階の違いにおいては、更に厄介なことが生じやすいと考えています。
それは、「未来に対する認識の違い」ということが多様性として立ち現れるということです。
これは協働を図る上で致命的なインパクトを与えます。
私たち人間は未来に対して何かしら「価値のあると思える、意味のある活動」をしようとします。
明らかに無駄でリスクが高いことに手を出す人は少ないでしょう。
ポイントは、「無駄」「リスクが高いかどうか」の判断軸が、その人の発達段階によって大きく異なるということです。
これは何を意味するのかというと、他の人の活動や案に対して、「未来に向かって、力を合わせる必要があるとはわかっていても、それは明らかに間違っている/よくわからなすぎるので、乗れません」というスタンスを助長しやすくなるということです。
その結果「関わらない方がマシ」と無関心な態度を強めたり、もしくは「何とか是正せねばならない」と方向転換や実現を阻むような行動をしたりということが起こり得ます。
発達段階の違いは、現実認識の違いであるということは前号述べた通りです。
この点が相当に厄介なのは、会話や対話でその違いを埋めるのが相当に難しいからです。それは、アボカドを食べたことが無い人に、アボカドの味や食感を正確に伝える難しさと似ています。
価値観の違いであれば、「望ましい未来に向かって」その価値観の違いをどう乗り越えるかの話はできます。
しかし、発達段階の違いの場合、「見ている未来のイメージや姿が違っていて、その違いそのものが問題を生んでいる」という認識の違いがあり、そしてその違いが相互にある、ということが分かっていない可能性が高いために協働の土台を生みづらくしてしまいまうのです。
成人発達における発達とは恐ろしく時間がかかるものであり、生涯かけてどこまでの発達段階に到達するのかはその人によります。
それぞれの発達段階を尊重しよう、それぞれの発達段階を生きる権利があると分かっていても、自分がステークホルダーになって「迷惑を被る」体験をすればするほど、葛藤を強いられることになります。
この葛藤はどうしたら乗り越えられるのでしょうか。
結局のところ「人にはその人のペースで発達する権利がある」という立場を取り続けるしかないと思います。
その上で、相手の発達段階に応じたサポートができるかどうかが肝要です。
様々な要素が複雑化しまた相互に絡み合った現在、私たちができることはそう多くはありません。
そして、それは、大河に水を一滴垂らすくらいのことかもしません。
それでも、自分たちが出来ることを一つずつ積み重ね続けていくことが多様性と複雑性に向き合いながらこの世界で生きていくために必要なことだと思います。
あなたが今、向き合いたいものは何ですか?
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