自己承認の高さという責任
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少し前の話になりますが、2016年のアメリカ大統領選挙にトランプ氏が登場し、注目を集めていた頃、プロセス指向心理学の創始者であるアーノルドミンデル氏が来日され、興味深いことをおっしゃっていました。
「アメリカでは、どこに行ってもトランプの話題ばかり。人々の自己承認(自己受容)が低いと、右傾化した思想が支持を集めやすくなる。」
彼自身ホロコーストで虐殺された側のユダヤ人であり、紛争解決のファシリテーションを行ってきたことからこその深い洞察だと思いました。
右傾化に限らず、極端な原理主義に陥ってしまうのは、同じく自己承認の低さに起因しているように思います。
オットー・シャーマー博士も、そうした原理主義的な対立による破たんに警鐘を鳴らし、U理論の社会的実践を展開されています。
そう考えると、自己承認(自己受容)というのは、個人の幸福感の度合いに関係するものであるだけではなく、実際は個人的な問題に止まらず、社会全体にとってもとても大切なことのように思います。
つまり、私たちの未来を集合的な破たんに向かわせるのか、可能性の未来を迎えるのかは、究極的には、私たち一人一人が自己をどこまで承認できるかにかかっていると言えるのではないでしょうか。
もしそうだとするならば、私たちには自分自身を本当の意味で大切にするという「責任」を果たしていくことが求められているということになります。
2020年の新型コロナウィルス感染症によってもたらされた混乱は未だ続いており、 また、感染症によるものだけでなく、紛争・軍事侵攻などによる対立と分断は収まる気配がありません。この未曽有の事態に、私たち一人一人がいかに向き合っていくのかということにも、このことが示唆を与えてくれているように感じます。
私たちはきっと、自分自身が思っている以上に極端な思想であっても感化されやすく、飲み込まれやすいのだと思います。
ソーシャルメディア等の発達によって、極端な思想と対立が野火のように広がりやすい時代だからこそ、私たち一人一人にできることがあるのではないかと思えてなりません。