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小代焼か上野焼か? 白釉葉形向付(藁灰釉楓形皿)

こんにちは。
小代焼中平窯の西川です!(^^)!

今回は2年前に公式ホームページで書いていた内容を改めて掲載いたします。


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先日、玉名市立歴史博物館こころピアへ とある古陶磁を拝見しに伺いました。

その器は
熊本県立美術館『第二十五回熊本の美術展 小代焼』2005年
に掲載されている白釉葉形向付です。


熊本県立美術館『第二十五回熊本の美術展 小代焼』2005年


白釉葉形向付(藁灰釉楓形皿)


白釉葉形向付(藁灰釉楓形皿)
裏面に渦巻き模様・蜷尻を確認できる。




実はこの器、たいへん面白い一品でして…!

同手の品が
上野焼400年祭実行委員会『国焼茶陶 上野焼展 初期から現代まで』2002年
に藁灰釉楓形皿として掲載されているのです。


上野焼400年祭実行委員会『国焼茶陶 上野焼展 初期から現代まで』2002年



古陶磁研究家(上野焼)の方のお話によると、高台内の削りの様子から「小代焼ではないか。」とのことでした。
※詳しく言うと高台内の渦巻き模様で判断されたそうです。

しかし、土や釉薬・全体の雰囲気は上野焼と見分けがつかないとのこと。

先日、玉名市立歴史博物館こころピアで実物を拝見した際には ありがたいことに直接触れせていただきました!

私の感覚としても「江戸期の小代焼かな。」とは思ったのですが…、
「じゃあ江戸期の上野焼と、どこが明確に違うのか?」と質問されると返答に困ってしまいます(^^;

発掘調査等で同じ品が発見されればちゃんとした答えが出るのでしょうが、博物館の方も出所は分からないとのことでした。




しかし、一見しただけでは小代焼と上野焼の区別がつかない品があることも悪くはないように思います。



小代焼は400年前に上野焼の陶工が熊本に移り住んだことにより始まるとされていますので、区別がつきにくい作品があることでかえって歴史的な繋がりを感じました。

まぁ明確な証拠が見つかることに越したことはありませんが、それまでは小代焼と上野焼の繋がりを感じつつ「明言はできないけど、たぶん小代焼だろうな~」と、この品を眺めることにします(^^)



2024年11月2日(土) 西川智成

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