人的資本経営2024年マニフェストに参加しました
会員ではないのですが、プロティアン・キャリア協会の「人的資本経営2024マニフェスト」に参加してきたので、そこで学んだことをメモしておきます。
■HRテクノロジーを活用した持続可能な働き方
タレントマネジメントという言葉は聞いたことがありますが、今回はそこからさらに発展して「タレントマーケットプレイス」という概念について学ぶことができました。
この「タレントマーケットプレイス」というのは、ざっくり言うと、
「従業員のスキル、関心、好みに基づいて従業員と機会や潜在的な役割をマッチングする仕組み」とのこと。
このシステムに自分の情報やスキルなどを入れると、テクノロジー側でロジックを立てて役職のマッチング度合いや可能性のあるキャリアパスを示してくれるとのことで、
めちゃくちゃ画期的だし、自社に導入してほしいなあ、と従業員側の立場としては思ってしまいますね。
キャリア支援をしていて、転職を考えている方に「本当に転職という選択肢でいいのか?社内異動などで希望は実現できないか?」を深堀りして聞くことがあります。
当然ですが、同じ組織に所属しているわけではないのでこのあたりは丁寧に聞いていかなければ見えてきません。
こういったテクノロジーがあると、もしかするとカウンセリングやコーチングに頼らなくても、入口の部分は個人でも解決できるかもしれませんね。
これまで「転職したいと思ってるんですが、本当に大丈夫でしょうか?」のような質問だったのが、
「システム上はこのようなキャリアパスが示されてます。自分はこれとこれの分野に興味があるんですが、どう選択したらいいでしょうか?」
みたいに、相談の質が変わる気がします。
そのため、キャリア支援の役割はなくなりはしないものの、より深い部分にアプローチする技術は必要になりそうだなと思いました。
HRテクノロジーとプロティアンキャリアの関係性ですが、「テクノロジーによって本人の考えていなかった可能性までたどり着くことができる、すなわち、変幻自在にキャリアを考えられる幅が広がる」ということだと私は理解しました。
そのため、「キャリアマップの広がりを見えることはテクノロジーでしか解決できない」という言葉は刺さりました。
またこのテクノロジーがあるからこそ透明化された情報をベースにヒューマニティーを持って上司ー部下で対話が可能になるというお話もあり、非常に希望が持てました。
上司の持つ知識や経験はn=1の可能性も大きいし、部下への指導やアドバイスが主観やバイアスゴリゴリということもあり得るし、
客観的なデータをもとに対話ができるようになると1on1もかなり違ったものになってきそうだと思いました。
そもそも、なぜこういったテクノロジーが生まれているかというと、SDGsやESGにおける「持続可能な働き方」が、
人口が確実に減少していくこれからの時代非常に重要になるからとのことでした。
その文脈でテクノロジーは忙殺されるマネージャーの一助になりそうだという話になったのですが、そこで出てきた
「売り上げは作れても、"人"のマネジメントができないと組織は崩壊するし、それって"持続可能な働き方"じゃないですよね」
というお言葉にはしびれましたねえ!
「持続可能な働き方」を実現するためには"人"にフォーカスせざるを得ないため、人的資本経営は持続可能という考え方にも強く結びつくものだと感じました。
シンガポールでは国家的に取り組みが進められているそうですが、日本ではまだまだ時間がかかりそうな雰囲気はありますね。。
私自身、広まってほしいなー!とは思うものの、プライバシーの保護や安全性などの部分はちょっと気になります。
このあたりについてももう少し詳しくお話し伺ってみたかったです。
■人的資本経営2024マニフェスト
Twitterでもつぶやきましたが、この対談で一番なるほどと思ったのは、欧米では人的資本についてはCFOの管轄だというお話でした。
お金だけではなく「資本全般」を扱う役割がCFOなのであれば、人的「資本」なので人も資本として扱うよね、ということだそうです。
さらに面白かったのが、アメリカでは人的資本についてはCFOの管轄なので、CHROは取締役のボードメンバーに入ることはあまりないとのこと。(伊藤先生談より)
私は勝手な先入観で、欧米ではCHROもボードメンバーに入って、経営戦略と人事戦略の橋渡しなどをしているものだと思っていましたが。
どうやらそうではないみたいですね。
人的資本経営は目的ではなくあくまで企業価値を向上させるための手段なので、経営へのインパクトが問われます。
であれば、経営における言語(主にCEOやCFOの思考や知識など)について、CHRO(人事)も理解しておかなければ
話をすることはできないし、インパクトを与える施策は打ち出せないとの話もありました。
これはとても重要な視点だと思いました。
財務やIR、資金調達の話には結構疎いという自覚があるので、この部分はまず苦手意識を払しょくせねばと思いました…。
私はこれから人事になるわけではないですが、クライアントとして主に人事の方々に何かしらを提案・提供する立場になります。
その方々が抱える課題の本質と背景には確実にお金のことは絡んでくると思うので、
財務について知っておいて損はないし、そのような部分まで見る力を培わねばなあと身が引き締まる思いでした。
この部分でさらに知りたいと思ったのは、人事側では財務によっていこうという動きはあるものの、
財務側ではどんな動きがあるのか?人的資本についてどう考えられているのか?ということです。
生ぬるい感想ですが、人事と財務双方が歩み寄って相互理解が進めば、より大きな価値を生み出したり、掘り起こすことができるのではないかと感じました。
人的資本経営を加速させて企業価値を生み出していくためにはテクノロジーの力が必要不可欠とのお話もあり、前段の講演とつながったところもビビっときました。
経営戦略と人材戦略をつなぐためには、まず個人のスキルや個性をオープンにしていく必要があるとのことで、
この部分で大いにテクノロジーの力が役に立ちそうな予感がします。
ただそこで課題になってくるのは、日本においてはテクノロジーを扱う人材(DX人材)が圧倒的に不足しているということ。
企業個別の課題というより日本全体の課題であるとのことで、なかなか根深い課題がありそうです…。
最後に、キャリア支援目線で気になったトピックですが、「立場や役割が違う人との対話がとても大事」ということです。
村澤さんが、人的資本経営をやっていくうえでの壁として人事と経営の壁、投資家と社内の壁などを挙げていました。
伊藤先生からも同様に、共創的な対話が大事であるとのお話もありました。
上で述べたように、現場とマネジメント、経営と人事などで言葉が違うので、それが障壁となることは多々あると思います。
ただ、それを解決していくのが対話であり、対話のベースを築くのがテクノロジーだと考えました。
キャリア支援はこの「対話」の部分をカバーできる点に強みがありますが、
ベースとなるテクノロジーとどう連携するのか?様々な人や役割、立場にある壁をどうとらえるか?が求められていきそうだと感じました。
■まとめ
他にもたくさん面白いトピックはありましたが、自分事に一番近いのはキャリア支援の部分なので、やはりそこにどう関連しそうかが気になってしまいますね笑
お話を聞いていて、企業価値を創るのは「人」だなあと再認識したので、人の可能性をより引き出せる方法をこれからも模索していきたいし、
人の集合から成る組織や組織を形作る仕組みの面でも自分がどう貢献していけるのかを考え続けていきたいです。
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