【読書記録】リーダーシップに出会う瞬間/著者:有冬典子
コミュニティの方がつぶやいていて気になっていたこちらの本を読みました。
◾️ 読み始めたきっかけ
冒頭でも述べたように、コミュニティの方が「よかった!」とおすすめされたのが一つのきっかけですが、それ以前に「よいリーダーってどんな人のことを言うんだろう?」という疑問が私の中にあったことが大きな理由です。
これまで3社を渡り歩いてきましたが、キャリア支援の活動や内省を通じて「こんな人(リーダー)になりたいな」と思った経験がないことに気づきました。むしろ、「こんな人(リーダー)にはなりたくないな、反面教師にするしかないな…」としか思った経験がないんですよね…。
私の思考の癖がそうさせている部分もあると思うのですが、経験・事実ベースで振り返ってもまあまあアレ(詳細はここでは触れませんが)な感じで、こんな気持ちを持ってるんだな、と振り返った時になんともいえない気持ちになりました。
今後人・組織に関わる仕事に就くこと、人と一緒に何かをする際、リーダー・マネージャー・プレーヤーに関わらず、"人をまとめる"ロールを担う可能性もあることから、この際自分の中の理想を持っておきたいと思いこの本を手に取りました。
◾️感想・まとめ
ストーリー調で話が進んでいくので読みやすかったです。とはいえ、そこそこ「こんなの普段の職場ではあんまりなさそうだなあ」と物語的に誇張された表現もあるように感じました。
また、"女性が管理職になるのはまだまだ先行事例がなく~~"のようなバックグラウンドについては、近年その限りではないと思ったので、時代の変化の取り扱いはなかなか難しいなあと思いました。
序盤にこちらの一節が出てきますが、これについては、「ただ目の前で起きている物事を事象としてとらえる、そこに解釈を加えるのは私たち自身であり、事象そのものに優劣や善悪はない」…のような意味だと解釈しました。
このあたりは”思考の癖”の話と、仏教の"唯識"や原始仏教の"ありのままを観察すること"(カジュアルに言うとマインドフルネスにちかいかな)に紐づけられるように感じました。
「自分の影響力の起点に自覚的になる」ためには、その影響力が自分のどこから発されているものかに自覚的になる必要があるとのことで、何となくわかる気がします。自分で自分をだましていること(自己欺瞞)は誰にでもあるし、ある種自分を守るための反応でもあると思うので、なおさら自覚的になる必要がありそうと感じました。
ここからどんどん物語は進行していきますが、この冒頭のやり取りがすべてではないかなあとも思ったり。「現実に起きていることの9割が自分勝手な解釈」という言葉であったり、自分のありのままの気持ちを大切にできない(八方美人になってしまう)主人公がいたり…。結局は自覚的でいるのが難しいことから問題は起こっていたような感じですね。
「自分の外側にある正しさに依存することなく、自らの正しさ・譲れない想いに根差した理念に立ち発揮されるのが真のリーダーシップ」とのことですが、この「自分の譲れない理念」というのを確立するのが一番難しいように思いました。
これを探っていくのが「内省」であったり、コーチングなのかもしれません。"自分はこれを実現したい!"と思っていても、それは本当に自分の経験や課題意識からの想いなのか、世論や自己欺瞞で創られたモノではないのか?という批判的な目線は大事ですし。
これについては文中でも"コアな願いは体験を通して徐々に濾しだされ磨きだされる"と書いてあるので、焦らずゆっくり見つけていくものなのでしょう。
”自己を高め、社会に貢献しようとすることは発達プロセスで必然的に起こる現象ではあるものの、安直な上昇志向に絡めとられないようにするためには注意が必要”とも述べられていて、この箇所にもうんうん頷いてしまいました。過度な発達衝動は時に自分を苦しめることにつながること、発達はやむにやまれぬ形でおこるということ、つまりは上述した焦らずにステップを踏んでいくことがとても大事ということにつながるということの補強でもありますね。時折みられる「成長しろ!」と外圧をかけられたうえでの成長はここでいう"発達"とは違ったものなのかも。
成人発達理論に初めて触れましたが、なかなか奥深そうで面白い概念だなあと思いました。リーダーシップとは何か?という問いに対しては、「自分がどんな理念に立ち自分自身と向き合い続けることで発揮されるもの」では?という感想を持ちました。つまり、マネージャーや肩書がどうだからではなく、誰しもが発揮しうるものってことですね。なんだか腑に落ちた気がしました。
◾️明日から使えそうな学びトピックメモ
・リーダーとしての成熟には、「俯瞰力」が必要。
「俯瞰力」は「視野の拡大」と「感情の客体化」が大事。
「視野の拡大」とは、自分起点での物事の捉え方から、
他者は何を感じ、どうとらえているかの視点をとれるようになること。
「感情の客体化」とは、自分の感情に自覚的になること。
・現実に起きていないことの妄想ストーリーが始まったら、
その中で起こっていることを細かく書き出すのも有効。
事実とそれについての解釈や推測を書いていくと、実際に起こっていない
こと、嘘であることを客観的に見ることができる。
それでも解決しなければ、事実を確認するために行動するのが近道。
妄想に勝てるのは事実だけ。
・「自分の弱さから目を背けない」のは難しい。最初のステップは、
自らの言動が自分のどういった考えや価値観から生まれているのかに
対して自覚的になること。
・コアリーダーとして自分を磨き上げるまでに向き合う恐れとは
①損得勘定の壁、②孤独の壁、③アイデンティティの壁の3つ。
「損してもいい、嫌われてもいい、無価値でもいい。
それでも自分はコアに立ち続ける。」ということ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?