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アジャイル開発とスクラム 第2版 の読書感想文


こんにちは。 
中原です。

最近は業務に追われているのを理由に本を読めていなかったのと、GWはステイホームって事で、休暇中に積ん読本を消化して備忘録的にアウトプットするこにしました。
まとまりの無い感想文ですが、皆さんの参考になれば幸いです。

今回は「アジャイル開発とスクラム 第2版 (著者 /  平鍋 健児 氏, 野中 郁次郎 氏, 及部 敬雄 氏)」を対象にしますが、感想文の性質上、本からの引用も含みます。
内容は一切知りたくないという方は本投稿でネタバレしますので、ご遠慮頂くのが良いかと思います。


アジェンダ

0. 総括      この本を読んで私が感じたことの総括を書いています
1. 第1部 「アジャイル開発とは何か、スクラムとは何か」の感想
2. 第2部 「アジャイル開発とスクラムを実践する」の感想
3. 第3部 「アジャイル開発とスクラムを考える」の感想


0. 総括

ソフトウェア開発という範囲でのアジャイルやスクラムではなく、これからの経営の在り方、組織をどのようにして変革させていくのか、組織にマインドをどのようにして定着させていくのかについて書かれています。

書籍の中でもスクラムの原典になった野中先生、竹内先生の論文「Then new new product development game」に言及しており『オリジナルの論文の中には、ソフトウェア開発の見ならず、組織経営やチーム運営についても多くの示唆が 含ま れていると同時に、「知識」というものがイノベーションの源泉であり「知識創造プロセス」がこのスクラム手法の正体だと書かれている』とあります。

このことからも、本書が組織変革についての書籍なんだなぁと、そして、いまの日本企業は組織変革にものすご~く興味があるんだなぁという事がうかがえます。

逆に言うと、アジャイルやスクラムを実際に始めるにあたっては、別な書籍も必要かとおもいます。

対象読者は第1版と同じくアジャイルやスクラムを実践する人達というより、開発を依頼する人達(事業会社、ユーザー企業)、経営層、マネージメント層とされていますが、事業会社や開発会社に関わらず、私は全ての経営者、マネージメント層に読んでほしい本だと思っています。

また構成も分かりやすくなっていて「アジャイルやスクラムってなぁ~に」って話から「みんなどうやってるの?」って話し、そして「アジャイルやスクラムの本質は何?強い組織って何?」って話に繋がっています。

最後に野中さんと平鍋さんの対談が掲載されていますが、組織の在り方についての議論がなされていて、まさに組織論、組織変革論で、変革を推進している人にとってはたくさん勇気をもらえる内容だと感じました。

1. 第1部 「アジャイル開発とは何か、スクラムとは何か

アジャイルやスクラムって何?って観点で語られています。
私は本の内容にほとんど同感でした。
組織横断チームのお話やウォーターフォールとアジャイルのお話しが書かれています。
リスクを軽減し、顧客やユーザーのフィードバックをとり入れながら進めるのがアジャイル開発ですよ~と書かれています。

さらに、サイロな組織の弊害としてイノベーションが生まれない、従業員が楽しくない、なんてことが挙げられています。
特にサイロになっているから各部門のゴールが異なり、要求が劣化するってはなしや、市場と開発との距離が遠いなんて話は、まさに私がこれまでにやってきた活動とつながっているなぁと思いました。


また、書籍の中で『スクラムは非常に薄い「マネジメントの枠組み」といわ れる。決められているのは、チーム 全体が協働するためのコミュニケーションのルールだ。』と書かれていて、これがすべてな気がしました。

スクラムの説明として、スクラムの役割、イベント、成果物(3-5-3っていわれるやつっすね)が説明されているのですが、スクラムマスターの説明がうまく言語化されていると思いました。

『スクラムマスターは、スクラム チーム全体をマネジメントするが、コントロール型の管理を行うのではなく、チームを支援する責任を持つ。そのために、チームを外部の割り込みから守り、チームの障害を取り除くために外部との交渉を行う。<中略>スクラム全体をうまく回す責任を持つとともに、チームが成果をあげることに責任を持つチーム内コーチであるといえる』

第1部のプラクティスの紹介の最後に、アジャイルやスクラムチームのスケールアウト、組織展開の方法論やフレームワークが紹介されています。

このことからも、アジャイルは「やってみよう!」または「ソフトウェア開発のいち手法」から「組織全体で導入しよう!」「組織体制や全体の進め方をアジャイルにしよう」というフェーズに入っている事が感じられる。
ビジネスアジリティの向上に不可欠な考え方、手法という事だと思います。

余談ですが、私としては、チェンジビジョン時代の同僚の水越さんのケーキの絵が初版に続いて掲載されているのが、凄く嬉しかったです。
この表現は凄く分かりやすくて好きなので、私は全然関係ないけど、凄く嬉しかったです。


2. 第2部 「アジャイル開発とスクラムを実践する」

第2部では事例の紹介がなされています。ほとんどが組織への導入、展開のおはなしで、組織変革をどう進めたのかという事例です。
構成としては、各事例の紹介のあとに平鍋さんから実践者の方へのインタビューの内容が掲載されています。
具体的な事例については書籍を読んで頂ければと思います。

ここでは組織導入における「あるある」が語られていて、平鍋さんのインタビューでは、推進者がどういった壁にぶつかったのか、その時にどう考え、どういった行動をとったのか、それがどう作用したのかが語られています。

これがものすごく大事だと思ってい、同じような課題にぶつかっていても、対策というか解決策は組織やその時の状況、特性によって異なる可能性があるんですねぇ。

なので、例えば「顧客との距離がある」に起因する課題でも、根本原因や解決策は様々だと思います。

ではどうやって解決策を見つけるのかって言うと、やっぱり仮説を立てて施策をやってみて学びをもとに改善するしかないと思います。

私自身もそんな感じでやってきました。

あくまでも私の個人的な意見ですが、アジャイルにしろ組織改革にしろ、答えがないと思います。
よくある例として、「アジャイルではどう考えるか」「スクラムではどう考えるか」「スクラムマスターはこういった場合にどうするのか?」といった質問をされる方が良くいらっしゃいます。
が、明らかな間違いはあっても唯一の答えてってないんだと思うのです。

方向性や方針はあっても、答えは自分で見つけないといけないのだと思います。
教えて君じゃダメってことっすね。
きびしぃ~~~

ただ「下手な鉄砲かずうちゃ当たる」作戦だと確度が低いので、今回の書籍や世の中の情報、手法、事例などを知るのが大事だと思うんですね。
みんなは、どんな状況で、どう考えて、その対策になったのかを理解しておくこと。
つまり、使い方を含めた武器を知っておくのが良いかと思います。
パターンを知っておくのって大事ですね!

3. 第3部 「アジャイル開発とスクラムを考える」

野中先生が「The new new product development game」がソフトウェア開発で再燃している事に驚いたって話から、「知識創造組織」の観点で議論が進んでいきます。

野中先生は先の論文で、多能工で自律的なチームをTypeCと名付け、6つの特徴をあげています。

1. 不安定な状態を保つ 
2. プロジェクトチームは自ら組織化する
3. 開発フェーズを重複させる
4.「マルチ 学習」
5. 柔らかなマネジメント
6. 学びを組織で共有する

特に私が面白かったのは4のマルチ学習で、個人、チーム、組織といった多層の学びと、多能力学習(異なる専門性を持った人が集まる事で専門外の知識の学習が起こる)事をあげられています。

実は私はManagement 3.0のファシリテーターをやっているのですが、通じるところが多々あると感じました。

またアジャイル開発に話をうつし、スクラムのチームではトップダウンの指示命令は行わないという話が挙げられています。
スクラムマスターがプロジェクトマネージャーに近い立場だけど、コマンド&コントロールはせず、協調型のリーダーシップをとると書かれています。
この点もとても納得です。

一方で、スクラムチームは自律的に目標達成に向けて進んでいくんだ~といって、なんでもかんでも丸投げしてよいのかって言うと、私はそうではないと感じています。

だって初めてアジャイルとかスクラムをやる人、初めてクラウドを触る人、初めてWEBアプリを作る人、、、、
できなくて当たり前で、いくらスクラムやアジャイルだからって急激にできるようにはならないと思います。

なので、スクラムチームの周りにいるマネージャーは、丸投げするだけではなく、目標達成に対して足らない能力が何かを明らかにし、能力向上の施策をチームに考えてもらい、コーチを付けるとか研修を受けてもらうとか、もっと言うと実践前の教育カリキュラムを用意するとか、能力を向上する施策の実行を支援しないといけないと思うのです。

ちなみに、野中先生の話の次にジェフ サザーランド氏が「スクラムを作ったのはなぜか?」についてのお話が書かれています。
このお話の最初に『チームはチームリーダーを「スクラムマスター」と呼ぶことにした...』とあり、へぇ~と思いました。

このお話の後に知識創造やSECIモデル、リーダーのお話があり、めちゃくちゃ良い話ですが、これは本を読んで頂くのが良いと思います。
とても良いお話なので、私が要約したり感想を書いてバイアスがかかるといけないので。

第3部の最後に野中先生と平鍋さんの対談があります。
この中で私が特に共感したのは、野中さんが語られている「イノベーションと言うのは思いの実現」という言葉です。
この言葉に私はものすごく共感しました。

なぜかというと、いろんな企業で新規事業や新規サービスの創出ってやってると思うんですが、やれデザイン思考だとか、他との違いは何だ~とか、、、
うまくいかないアイデアは、パッションの無い人が言われるから仕方なく考えたもので、さらにパッションの無い人がそれを批判して潰されるという構図が典型的なパターンなきがしています。

そんな中でも、誰に何と言われてもパッションをもって周囲に思いを伝える人。もちろん、自分自身の思いだけではなく、顧客やユーザーの身になり共感し、実体験として状況を感じ取り、それを仲間に情熱をもって伝える。そうする事で仲間にも状況を共感してもらい、情熱を共有する。
そして、さらに発想を膨らます。

これに凄く共感しました。

そして、同じ思いを感じたのが豆蔵時代の先輩である萩本さんが考案された「匠メソッド」です。
匠メソッドについては、下記で簡単に紹介しています。


最後に

今回のブログは本を読みながらメモったことを元にして書いたので、本当に自分の備忘録になってしまいました。
読みづらくてすいません。

最近はアジャイルを導入する企業が増えていますが、アジャイルを実践することが目的になっていたりします。
この本では「何のためのアジャイルなのか?どうすれば強い組織になれるのか」って事が書かれています。

そんな中、この本はアジャイルを実践する人がマネージャーや経営層に薦めるのに凄く良い内容だと思います。
なかなか本を読んでくれないのであれば、この本の内容をかいつまんで紹介するのでも良いかと思いました。


ご参考になれば幸いです。

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