うさぎを「一羽二羽」と数える理由
兎(うさぎ)は、なぜ「一匹二匹」ではなく「一羽二羽」と数えるのだろうか? その由来は「肉食禁止令」の時代にあるといわれる。
仏教伝来後、「肉食禁止令」が下されるようになったが、それでもこれまでの肉食の習慣は、そう簡単に消えることがなかった。人々は「薬猟」と称して、必要に応じて山野に猟に出かけ、鳥獣の肉を楽しむ風習は続いていたのだ。
肉食禁止令とはいえ、例外として食べてもいい肉があった。
うさぎを「一羽二羽」と数えるようになったのは、「動物の肉食は禁止されていたが、鳥は食べても良かった時代」に、「兎は鳥だ」という理由をつけて、密かに食べていたことに由来しているようだ。
「うさぎ」は「鳥」なんだ! その無茶苦茶な理屈とは
そうは言っても、どう見ても兎は鳥類ではない。しかし当時の人は、なんとしてでも「鳥」として食べるために、次のような理屈をこねていたのだ。
1:鳥と狩猟方法が似てる
狩猟には、網を使った方法がある。兎も鳥と同じように、網に追い込んで狩猟していたことから、鳥として扱われていたとされている。同じ網で捕らえるので、鳥と同じ単位で呼称されるべきだ、という理屈だ。
また、狩猟で捕まえた兎は、耳を束ねて「一把(ひとつか)み」にしていた。そこから、束ねたものを数える単位である「一把(いちわ)二把(にわ)」から「一羽二羽」に変化したという説もある。
2:鳥と骨格が似てる
骨格が、鳥に似てるという説。皮を剥き、肉にしたときの兎の足は、鳥の足に似ているらしい。大きさも鳥と同じぐらいなので、ほとんど鳥と同じじゃないか、という理屈だ。
3:二本足で立つ
鳥と同じように、兎も二本足で立ち、跳ね回るからという説。江戸時代に発令された「生類憐みの令」では、四本足の動物を食べることが禁じられていた。
4:飛び跳ねる
ぴょんぴょん飛び跳ねる兎は、飛ぶ鳥のようだという説。また、大きく長い耳が、鳥の羽に見えるから、一羽二羽と数えた、という説もある。
5:「ウサギ」=「鵜(ウ)」+「鷺(サギ)」だから
兎(ウサギ)の発音を、「鵜(ウ)」と「鷺(サギ)」に分けて、鳥として扱ったという説。
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こうして見ると、なんとも無茶苦茶な理屈だが、肉食禁止令の時代においては、なんとか動物の肉を食べようと、あれこれ苦労していたようだ。