「センマイ」を唐揚げにしてみよう!
「センマイ」といえば、焼肉店や居酒屋の「センマイ刺し」でおなじみだ。焼肉のほか、地域によっては「もつ鍋」にも入っているが、多くのセンマイメニューが、湯引きした「刺し」で食べられている。
センマイには、もっと活躍の場があってもいいはずだ。
そうだ、センマイを「唐揚げ」にしてみよう!
「センマイ」とは、なんぞや
「センマイ」とは、牛の第三胃袋のこと。ザラッとした舌触りと、シャキシャキ、シャワシャワとした独特の食感がある。
千枚のひだがあるような形だから「センマイ」と呼ばれる。
触り心地や独特のにおいから、地域によっては「雑巾」と呼ばれることもある。これにはちょっと納得だ。
英語名は「Book Tripe(本の胃袋)」。
黒く、大きくて、薄いヒダがたくさんついていて、雑誌のページをめくるような感覚さえある。まさにピッタリの表現だ。
地味な見た目だが、栄養面では、特に鉄分を多く含む。
積極的に食べておきたいホルモンだ。
センマイの調理法を考える
「センマイ」といえば、湯引きした「センマイ刺し」が思い浮かぶくらい「刺し」が代表的な調理法だ。焼肉店、居酒屋にとどまらず、スーパーの惣菜パックにも「センマイ刺し」がある。
焼肉店ではタレ漬けになった「ミックスホルモン」に入っていることもあるが、センマイ単品で焼き物メニューに並ぶことは意外と少ない。「刺し」では、主力ともいえるぐらい存在感があるのに、それ以外の調理法では急に出番が少なくなってしまうのは、かわいそうだ。
とはいえ、広島のB級グルメ「ホルモンの天ぷら」には「センマイ天」がある。淡白なセンマイが、衣をつけた天ぷらに、とても合うそうだ。
それならセンマイを天ぷらにしてみてもいいが、ここはあえて、最近覚えた「ホルモンの唐揚げ」で、やってみることにした。
この時つくった「豚大腸の唐揚げ」が、あまりにもおいしすぎたため、いま私は、あらゆるホルモンを唐揚げにしたい衝動に駆られているのだ。
センマイの唐揚げ
<材料>牛センマイ
センマイは複雑な形状だ。
どう切ればいいか毎度困惑してしまうが、まずは包丁を使って、ヒダヒダを一枚一枚、ていねいに切り離そう。
ヒダヒダには、水分がついているので、一枚一枚、よく拭き取っておく。
次に、ひとくち大に切る。
肉は、火を通すと縮むから、あまり小さくならないように。
「海苔の天ぷら」をイメージして、ヒダヒダの部分は、四角く切った。
想像しただけでも、おいしそうな予感がする。
<味付け>不動の調味料「ナンプラー」
味付けには、私の不動の調味料「ナンプラー」を使う。
おいしい塩味をつけたい時、これ一本で味がキマる、万能調味料だ。
前回の「ホルモンの唐揚げ」をつくりながら、ホルモン文化を考える でも紹介しているが、特に「唐揚げ」では「ナンプラー・にんにく・白コショウ」の三種の神器で味付けをするのが私の鉄板だ。
さあ。ナンプラー、おろしにんにく、白コショウを少々加えて、しっかり混ぜて、センマイになじませよう。
片栗粉で衣をつける
薄いセンマイは、広げながら衣をつけていく。
ちょっと水っぽいので、衣付けが難しい。
味付けをしたことにより、どんどん水分が出ている気もする。これは片栗粉を使った唐揚げよりも、小麦粉の天ぷらのほうが良かったのだろうか…?
急いで揚げたほうがよさそうだ
センマイから水分が出つつあるので、急いで揚げよう。
いつものように、熱効率の良い中華鍋で揚げる。
理想は、鶏皮チップスのように、カリッとした肉のつまみに仕上げたい。
センマイが水っぽく、カラッと揚げるのが難しい。
油の温度が高すぎると爆発するので、慎重にじっくり揚げる。
「慌てるな!爆発するぞ!」
センマイのゲジゲジが、爆発装置の部品か何かに見えてきた。
私の経験上、中華鍋さえ使っていれば、揚げ物は失敗しない。
「信じるんだ!中華鍋を!」
「センマイの唐揚げ」が完成した!
危険な状況をくぐり抜け、無事にセンマイは、唐揚げになってくれた。
ちょっと油っぽさが残ってしまったが、冷めると衣がカリッとしてきた。噛めば噛むほど味が出る、おいしいホルモンのおつまみだ。
唐揚げになったセンマイのヒダヒダ部分は、なんとも不思議な食感だ。見た目も相まって、ゴムシートでも食べているんじゃないかと錯覚してしまう。センマイ刺しとはまた違った食体験ができるだろう。
もともと臭みのない新鮮なセンマイを使ったが、揚げることにより、センマイ独特のクセが和らいでいる。「揚げる」という調理法は、においが気になるホルモンには有効だ。
それにしても、センマイをカラッと揚げるのは難しい。
揚げ物は、経験と勘と度胸。
今回も学びが多い料理だった。
何はともあれ「センマイの唐揚げ」に、乾杯だ!
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