【情報Ⅰ】 ChatGPTの新機能「Code Interpreter」で問題作成がはかどる話 -Part2-
※ 2023年9月21日追記
「Code Interpreter」は、現在は「Advanced Data Analysis」という名称に変更されています。
こんにちは!ライフイズテックのサービス開発部でカリキュラム制作を担当しているないとうさおりです。
前回の記事では、ChatGPT の GPT-3.5 や GPT-4 だけでは難しかった情報 Ⅰ の計算問題の作成を、「Code Interpreter」を利用して簡単に実現できたことをご紹介しました。
今回は、引き続き Code Interpreter を使い、「データの活用」分野の擬似データと問題の作成にチャレンジします!
散布図の擬似データを作成
「データの活用」分野の重要な学習事項の一つに、相関関係・散布図があります。
大学入試センターが公表している試作問題(2022年11月)、サンプル問題(2021年3月)のいずれも、散布図の読み取り問題が出題されていますね。
この散布図、ゼロから擬似データを作ろうと思うとなかなか手が掛かります。
乱数を使って適当なデータを作ったら、相関係数と散布図とにらめっこしながら出題したい内容にあわせて値を調整しつつ、不自然な分布にならないように気を配り……。
このような擬似データを含む練習問題を簡単に作成できれば、かなりの省力化ができそうです。
はじめに与えたプロンプトはこちら。
問題を作成する前に、要点をまとめさせるのが最近のお気に入りです。
この手順を踏むことで、ポイントを押さえた問題が作られる確率が高くなる気がします。
出力結果はこんな感じ。
1題ずつチェックして、ブラッシュアップしていきます。
練習問題1は、相関関係の基礎的な理解を問う問題として成立しているものの、理科のデータだけ200点満点だったり、相関がきれいに出過ぎていたりするのを調整したいところです。
やりとりを長く続けると、最初の方で示した指示や条件が通らなくなることが多いので、ここでは元データをCSV形式で出力したら、New Chat を開きます。
New Chat で与えたプロンプト。
出力結果はこちら。
面倒なデータの加工が数秒で完了しました!
ダウンロードしたCSVデータを表計算ソフトに貼り付けて、お好みの書式で散布図を作成すれば、できあがり。
もちろん散布図の画像自体もダウンロード可能ですが、日本語フォントには対応していないようです。
次の問題に移ります。
練習問題2は、そこまで修正が必要な箇所がなさそうので、これでOK。
練習問題3は、回帰分析の考え方を遠回しに問うているのがしっくりこないため、回帰分析の問題を改めて作り直すことにしました。
回帰分析の練習問題を作成
回帰分析の練習問題を作るため、次のプロンプトを与えます。
3つの題材で問題が作成されました。
先ほどと同じ、気温とアイスクリームの売上の問題も作られました。
これをブラッシュアップしていくことにします。
データの調整はさくさくと完了。検算と推敲・校正もやってみます。
文体や指示文の統一については、問題を作成する段階であらかじめ例を示しておけば、後から修正する必要はなくなりそうです。
最後に修正を加えた説明不足の箇所や、概数に「約」が付いていない箇所も、できれば Chat GPT 自身で発見してもらいたいところ。
校正のプロンプトの与え方については、もう少し研究が必要そうです。
今回もCSV形式でファイルを出力して、回帰分析の問題もひとまず作成完了!
最後に、さらに複雑な擬似データの作成もできるのか実験してみます。
グループ別散布図の擬似データを作成
散布図の中に2つのグループを含み、グループによって異なる傾向がみられるデータを作ってみます。
まずは題材のアイディア出しから。
題材5が高校生にとって身近な題材で、グループごとの傾向の違いも自然でよさそうです。
この題材で、いくつか条件を与えてデータを作成します。
指定した条件通り、簡単に擬似データを作成することができました。
今回作成した散布図だけでなく、箱ひげ図や度数分布表・ヒストグラム、シミュレーションの元データなどさまざまな場面に応用ができそうです。
おわりに
このように、AI を使って擬似データや練習問題の作成が圧倒的なスピードでできるようになりつつある今、あらためて問題制作のプロセスを1つひとつ言語化していくことの大切さと難しさを感じている毎日です。
・教科を通じて身に付けたい知識や技能、思考力の具体的な中身は?
・それらが身についているか測るには、どんな問いが必要?
・問題の題材やテーマを決める基準は何?
・誤答の選択肢はどのような手順と基準で作る?
前回・今回の記事は、ざっくり「やってみた!」のご紹介でしたが、このあと実際のプロダクトに載せられるレベルの品質をどのように担保していくのかについても、今後発信していければと思います。
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