翻訳者の収入について
フリーランスで翻訳者をしていると、同業者と話をする機会があっても(実際にはほとんどないのですが…)なかなかお互いの収入(単価)について聞きにくいのです。
翻訳学習者向けの雑誌を見ると、翻訳者の年収は100万以下から1000万円以上と大きく幅があり、翻訳歴が長いほど収入が多い訳でもないと思います。
もしこれから翻訳者になりたいと考えている方の参考になればと思い、フリーランス翻訳者の収入について少し書いてみたいと思います。(あくまでも、私なりの見解です)
翻訳者の料金体系(産業翻訳者)
単価制(契約している翻訳会社ごとに料金が異なります)
時間給(翻訳にかかった時間を自己申告)
私の場合は上記2種類の料金体系で仕事を受けています。
【単価制】は、1文字当たり〇円で契約し、原文べースで支払われる会社が多いです。
【中国語→日本語訳】の場合
中国語原文の文字数×単価=収入になります。
例:1文字5円、1万字の案件の場合 5円×1万字=5万円が収入となります。
【時間給】は、パートさんと同じような料金体系で時間給〇〇円で設定され、その翻訳にかかった時間を申告しその金額が収入となります。
例:時間給 2000円、5時間かかった場合 2000円×5時間=1万円が収入となります。
翻訳者、チェッカー、校正者の料金体系
翻訳という仕事には翻訳者だけが携わっているのではなく、翻訳者の訳した訳文が指示通りに翻訳されているか校正する校正者、翻訳の内容が正しいかどうかチェックをするチェッカーなどがいます。
料金体系は以下のようになります。
校正者<チェッカー<翻訳者
チェッカーが校正者としての仕事を兼ねる会社もありますし、分かれている場合もあります。
私も翻訳、チェックの両方をやりながら生計を立てています。
単価交渉について
翻訳者として採用された場合に、ほとんどの場合提示された単価でまずは仕事を始めることになると思います。
何度か翻訳者を目指す方に単価交渉について聞かれたことがありますが、7年間この仕事をしていてタイミングが分からず…、単価交渉をしたことはありませんが、単価は何度か上がりました。
1度目:A社から契約3年目に入った時に単価が20%ほど上がりました(自動的)
2度目:B社から契約5年目に入った時に単価が1.5倍に上がりました。(自動的)
3度目:今年に入ってインボイス制度開始前に単価が10%上がりました。
もしかしたら、会社ごとに仕事が継続的にある翻訳者の単価は何年か毎に上がるようになっているのかもしれません。(あくまでも推測です)
もちろん単価交渉をするのは自由だと思いますが、実績をきちんと積んで翻訳会社からの信頼がある程度できてからの方が良いと思います。単価交渉でもめて仕事を失うのも…もったいないので。
自分の翻訳スピードを上げる
単価を上げる以上に自分の翻訳スピードを上げることは収入増につながると思っています。
翻訳者としての経験が蓄積されるとタイピングのスピードが上がるだけでなく、翻訳案件に関する知識は増え、調査に係る手間は効率化されますので、単価が同じでも、同じ時間働けば収入は右肩上がりになることはほぼ間違いないと思います。
最後に、翻訳の仕事だけで生活できるのか
今までの経験からすると、月20日以上働いたとしても校正者、チェッカーの仕事だけでは収入はあまり見込めません(単価が安いため)。翻訳とチェッカーの仕事が年間を通して安定的に来るようになれば会社員の給与と同等もしくはそれ以上の収入は得られます。(そこから税金などの支払いは自分でしなければいけませんが)
フリーランスなので、生活できるかどうかは最終的にはその人次第だとなります…。翻訳者として契約していた方でも、思うように仕事が得られず3年以内にパートやアルバイトを副業で始められた方、翻訳より別の仕事が合っていると判断し翻訳とは関係のない会社に転職された方も多々いらっしゃいますし、反対に翻訳業にとどまらず情報発信なども同時に行い収入をどんどん上げられている方も沢山いらっしゃいます。
全ての結果は自分自身に係ってきますので、翻訳者としての素質、営業力、コミュニケーション力、自律性が大切になってくると思います。