見出し画像

管理職は知識・スキルが高くないとダメなのか?

前回シニアと現役世代の関係を書きました。シニアは現役世代に役職を譲ることも必要と書きましたが、実はこんな話も聞きました。
現役世代の部長に対して「なぜあの人が部長やっているのかわからない。知識が高くないのに」というものでした。


管理職が部下よりもすべて知識が上だったら?

先に言っておきますが、管理職が知識を持つ必要はないということではありません。部下全員のすべての知識より上だとしたらということです。

その部のトップなんだから一番知識があるのは当然でしょうと言われそうですが、確かにそれであれば意思決定は早くなると思います。
何が何でも売上を上げないと会社がなくなってしまうという状態であれば、それも必要かもしれません。

しかし上司の知識が一番上であるならば、部下の役目は何でしょう?

上司から言われたことを素直に実行する
になるかと思いますが、そうなると何が起こるか?
 ↓
言われたことだけをやる
 ↓
自分で考えることはしない

こういう流れになるわけです。

最近の人の悩みで出てくるのは
自分で考えて行動できる人材の育成」です。

仮に管理職の知識が高い場合、上手くいっているのか?というと実際にはそうではありません。
・部下が思い通りに動いてくれない
・上司の指示の仕方が納得できない

実際にはこのような悩みがたくさんあります。
だから、管理職になる人は知識・スキルが一番高い人がなるべきというのは無理があるのです。

管理職の役割

管理職の役割は実は明確で
・会社目標に対して自部門の役割から、
 どこを目指すのかを明確に言葉にして伝える
・部下一人一人の「強み」を理解して、
 誰にどの仕事をアサインすれば効率よく目標達成できるのか考え実行する
・部下の話に耳を傾け、ベストな判断をする

この3つだと思います。

その部の専門知識は部下が持っていれば部下に聞けば良いのです。1から10まで管理職が判断してしまったら、部下は育たないのです。それは会社にとって大きなマイナス要因です。

WBC栗山監督から学ぶ

年末のせいか一年を振り返るTV番組が多くなりました。個人的にはWBCが一番印象に残っています。
先日も栗山監督がマネジメントについて話している番組を見ました。

栗山監督はプロ野球選手としはそこまでの実績は残していません。
しかし野球を愛していることは誰にも負けないと言っていました。私財を投じて北海道・栗山町にグラウンドや野球博物館を作ったのは有名な話です。

そんなことをしていたので日本ハムの監督の話が来たのではないかと言っていました。
監督になる人は普通は自分のやりやすい人をコーチに迎えることができるそうなんですが、
「今のコーチ陣は自分より優秀な人たちばかりです。その人たちの力を借ります」と言って、自分に都合のいい人たちへの交代はしなかったそうです。

これでチーム(現場)の雰囲気は一気に変わったそうで、日本一になることもできたのではということでした。

そして、もう一つ印象的だったのは
「自分は野球人としてのスキルは高くなかったので、セオリーに縛られなかった。常識は最初から常識ではなかったはず。みんながやり出したらそれが常識になる」という言葉でした。

これが大谷選手の二刀流に繋がったわけです。プロ野球の世界で二刀流なんて前例がありませんから、大谷選手を潰したらどうするんだと言われていましたが、彼の才能と強みを理解していた監督は「彼なら絶対できる」と信じ切ったことで、大谷選手の二刀流が実現したようです。

WBCの現場で

WBCにはあれだけの個性的な選手が集まっていたので、どうまとめたのか?という問いが多いそうです。

しかし、監督自身は「何もしていない」と言っています。

やったことは
世界一を取ること。これは子供たちに野球の素晴らしさを伝える絶好のチャンス。これを逃したらそんな環境は巡ってこないということを話したそうです。

ここに行こうぜ!そのためのやり方は自由!

これだけを示したら、選手間で勝手にフィードバックしあいながらまとまっていったと言っていました。
TVで見ていても「いいチーム」だと思いました。

そしてもう一つ
ピンチになると監督は選手に対して「何とかしてくれ」という願望を持つのが普通なんだそうですが、栗山監督は願望はなく「彼なら絶対できる」と信じきることだけを徹底したそうです。
もしダメだったとしても知らん顔をして「次、打つから大丈夫」と平然と言っていたそうです。

選手個人の力を見極め、世界一になるという目標を明確に示し、選手を信じ切るコミュニケーションを貫いた結果があれだったのでしょう。

これは「チームビルディング」そのものです。

組織でもこんなチームづくりができるようにしっかり伝えていきたいです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?