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人材育成の選択と集中が必要

人材育成はどの会社でも必要なことですし、社員に対して公平にその場が与えられる必要があると思っています。
でも、お客様の話を聞いて選択と集中も必要だと思いました。


戦略を実行するための人材育成

そもそも人材育成をする理由は、その会社の事業戦略を実行するためです。

7S

お客さんのところで人材育成の話をする時は、必ずこの7Sの話をします。
会社の戦略を実行するには、その会社の「人材」の力に紐づきます。人材を無視した戦略は絵に描いた餅です。

ですから会社の人材の能力がより成長すれば、より高度な戦略を実施することも可能になるわけです。
この二つはセットで考えてもらうようお話します。

ある会社のイライラ

実はこの数か月訪問している会社は、10人ちょっとの会社ですが、社長が組織づくりの勉強をよくされていて、事業計画や人事制度、賃金制度、資格取得のための仕組などこれでもかというくらい整備されています。

事業の方も順調に伸びてきているのですが、どうにも社員が育ってこない。少し成長したなと思うと辞めてしまうというようなことが起こっていました。

どこに問題があるのか、いろいろお聞きしていました。

私がこういう点はどうしていますか?と聞くと、
「そんなことはずっとやっています。でも社員は変わらないんです。何かもっと他の方法はないのですか?」と言われていました。

戦略と人材の力のミスマッチだということは明確だったのですが、それなら人材育成をするか、外部から力のある人材を採用するかの2択になります。人材育成には時間がかかります。それは理解しているようですが、イライラ感が半端ない状態でした。

この会社は社長が何でもできてしまう人だったので、判断しなければいけない仕事をほぼ社長が一人でこなしている状態でした。

それが良くないことはわかっていて、管理職の方にはどこまでの責任をもってもらいたいかをきちんと話しているそうなのですが、それでも簡単なことまで社長の指示を仰ぎに来ているようでした。

イライラをぶつけられながらも、今後の事業計画達成のためには「管理職が機能すること」が最重要ポイントであるので、ここに集中して人材育成をしませんか?とお伝えしました。

経験学習の視点で管理職に対する1on1を実行する

管理職に対して外部の研修を受けてもらうというのも一つの手段ではあります。
しかしそれもすでに実行されているようなので、管理職としてマネジメントの「小さな成功体験」を積んでもらうことが必要だと思いました。

社長は管理職候補の方に集中して、その方たちへ1on1の面談を定期的に実施してもらうよう伝えました。
面談自体はすでにやっているようですが、視点として経験学習を意識したコーチングベースの対話をお願いしました。


コルブの経験学習サイクル

1on1自体は部下の方が話したいことを話すことが原則ですが、今回はチームマネジメントについて、定期的に対話してもらうことにしました。

一定期間に、上手くいったことや思い通りいかなかったことなど、いずれにしても経験したことについて「振り返り」をしてもらい、次に活かすとしたらどういう行動をとるのか?
これを社長が質問しながら、管理職の方が自分の言葉で話してもらうことを意識してもらいます。

話を聞いていると経験も少ないこともあり、なかなか自分の言葉で出て来ないことも考えられるので、そこはその人の得意な(評価できる)ことをベースに社長が少しだけアドバイスをさりげなく入れてみる。
決して指示するのではなく、提案やフィードバックをベースに本人にどう思うか確認することを忘れずにしてもらうことにしました。
そして、必ず次回までに何を行動するのか決めて、その点については次回の面談時に必ず結果を振り返ってもらうことにしました。

「すぐにできるようにはならないので、初めは社長のマネからでも良いのではないですか?少しずつその人なりのマネジメントのスタイルを作ってもらいましょう」

社長も自分で考えてもらうための支援をするということに納得されていたようでした。

イライラの原因は全員を引き上げようとしていたこと

先日お話していた時に
「なんか、社員への期待を限りなく0にしたら楽になりました」と話されていました。

それはどうなんだ?と思ったのですが、よく聞いてみると、これまでは社員全員に対して同じくらい力をかけて面談や研修などをやっていたそうです。

社員の方はやってみると言っても結局何もやらずに、挑戦を止めるというケースが多かったようです。どうもこれがイライラの原因のようです。

最近は、それは本人の決めたことなのでそれならそれでいいと思うようにしたそうです。

確かに社員全員に同じように接して、チャンスも平等に与えているのは素晴らしいですが、全員が同じように変わるかと言えばそれは無理な話で、変われる人から変わってくれれば良いのではないでしょうか。

今後の事業戦略を考えると、ここは優先順位をつけて可能性のある人材に集中して力をかけていきましょうとお伝えしました。

人材育成は広い範囲で考えていましたが、全員同じは苦しいのかもしれません。人に対して選択と集中も必要なことだと感じた出来事でした。


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