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役割変化に対応する力を身につける(シニアのリスキリング記録Ver.5)
今週は半分以上をシニアのキャリアリカレントの学びに費やしました。
若干へばりました・・・。
キャリア研修を実施するために
今回は中央職業能力開発協会の「キャリア・シフトチェンジのためのワークショップ」インスタラクター養成講座に参加してきました。
45歳~55歳のミドルシニアを対象としたキャリア教育のワークショップを企業向けに実施できる講座です。
私のような講師の仕事をする方もいらっしゃいましたが、企業の人事の方が多く参加されていました。大手企業の人事の方が多いです。シニアの課題は中小以上に深刻な課題のようです。
自分型から市場型へ作り直す
今回、一番印象に残ったのは「自分型から市場型への変化」という視点です。
シニアになるとキャリア研修を受講させるという会社が多いようですが、なぜこの段階でキャリア研修が必要なのか?
この部分の説明が不十分なような気がします。だから「たそがれ研修」などと言われてしまうのだと思います。
若手からシニアへの段階を「仕事の型」という視点で分類し、どのように作り上げていくか整理しています。
・基本を習得する「若者」
ビジネスパーソンになった最初は、基本的な仕事の型を習得する期間。
・自分の型を確立する「ミドル」
基本を学んだ後は、それぞれの知識や能力、経験によって自分なりの仕事のやり方を習得。
それぞれ強みが違いますから、自分なりの成功パターンを経験学習によって学んでいく時期ではないでしょうか。そして更に高い難度の仕事に挑戦していくことで成長を感じられる時期です。
この時期が一番仕事をしていて充実感があるように思います。
・市場型に作り直す「シニア」
ミドル時代を過ごしてベテランと呼ばれると、自分なりの仕事ができるようになります。リーダーになっている人も多いでしょう。
しかし、組織にいる以上定年はいつかやってきます。
そうなると自分の能力云々の話ではなく、否応なく役割が変化します。
リーダーからフォロワーシップが求められるようになります。
そうなった時に、自分の型を周りに押し付けることがどれだけ周りの役に立つのか?それは疑問です。
役割の変化とともに、周りから求められるものに合わせて変化していく必要があるのです。
周りから求められる存在になるために自分型から市場型へ変化させることが活き活き働き続けるためには大切なことです。
そして、この市場型へ作り上げるのは定年や役職定年になった時に行うのではなく、その前にその変化のタイミングを見越して移行準備期間が必要ということです。
自分型やそれまで培ってきた仕事の基本型を時代の変化も考慮に入れて、周りから求められるものにどうやって変化させるか?
これを40代後半から準備を始めてもらうのがキャリアシフトチェンジの考え方です。
変化対応に必要な基礎能力をプラットフォーム能力と呼んでいますが、このうちのどんな能力が自分には備わっていて、何が足りていないのか?それらを知って自分なりの行動を考えるのが、この研修になります。
自分視点を押し通してもいいことはない
定年を機に役割を変更するケースに何度か立ち会ってきましたが、特に自分型に自信を持っている方は、この部分のこだわりが強すぎるように思います。
「会社は自分に何を期待しているのか教えろ」と言われたことがあります。
それによって働き方を考えると言うのです。
自分はこれまで会社に貢献してきた。自分の能力は必要なはずだ。残ってやってもいいというような気持ちなのでしょうか。
確かに優秀な方ではありますが、現役世代はやりにくくて仕方ありません。
そしてどう思われているかというと、「別にその人がいなくても仕事は回る」と。
こういうシニアが上手く働けない「働かないオジサン」と言われてしまうのでしょうね。
これからはシニアを活用できる会社が生き残る!
先週のブログで、現役世代の背景と採用の状況を書きました。
現役世代の背景に仕事と子育ての両立問題があることは理解しておく必要があります。
現役世代の採用が難しいと、多くの会社で耳にします。子育てとの両立への社内の取り組みは?と聞くと
「うちは仕事がら絶対無理だから!」と即答されます。
わからなくはないですが、それは抜けられると困るという意識だと思います。その人しか見ていないからそういう回答になります。
現役世代が抜けざるを得ないところを、短期間で埋められるのはほかならぬシニアではないでしょうか。
リーダーの役を退いたシニアを有効活用して、現役世代が子育てと両立できる仕組みや社風をつくることが、これからの人手不足を乗り切るためには必要だと感じています。
以前にお話を聞いたある会社でも、現役世代の採用には困っていらっしゃいました。
子育て中の社員が急に子供のことで、早退や休まないといけないとなった時に、周りの人はどんな感じで対応しているのか?と聞いたところ、
「うちはベテランが多いので、状況を確認すればフォローはできる。だから、いま抱えていることとか、対応しなければいけないことは何かなどを聞いてフォローしている」ということでした。
それが自然とできている環境なのだそうです。
そういうところをもっと前面に出して採用活動でアピールすることをお勧めしました。現役で子育てと両立に悩む人にはありがたい環境ですよとお伝えしました。
先方は普段からフツーに対応していたので、当たり前すぎてそれがアピールポイントだと気づかなかったようです。
これももったいない話です。
会社もシニア本人も早くからキャリアチェンジを意識する
シニアの学びを通して最近思うことは、会社もシニア本人も早くからキャリアを意識した準備を始めて、お互いのニーズがかみ合うように全体で考え直していくことが必要ではないかと考えています。
キャリアは個人のことと考えず、会社も一緒になって一人一人の力を活かすことができれば、活き活き働き続けられる世の中になるだろうなと思います。
そんなところに貢献できたらいいなと思う今日この頃です。