新しい出会いに思い出すこと
4月に入り、いろいろな会社で新入社員が入ってくる時期ですね。
今は会社組織から出たのでのんびり過ごしていますが、数年前までは会社で新入社員を迎えるということでドキドキしていたことを思い出しました。
大学卒の3割が3年以内に離職するということが当たり前の時代ではありますが、良くも悪くも「最初の会社」ってその人の職業人生に大きな影響を及ぼすと思っていたので迎える側としても緊張していました。
あえて関係力の話
時々書いていますが、私が学んでいるチームビルディングでは
・人材力:個人の強みを活かして
・組織力:目指す方向(ビジョン)、会社の仕組みを共有し
・関係力:どのようにコミュニケーションを取っていくか
この3つの視点組織を見ています。しかし私は元々「人間関係」を無意識に意識している傾向が強いので、「内木さんは関係力の話しかしない。それだと組織の問題が見えなくなるよ」とよく言われていました。
しかし今回はあえて「関係力」の話をしたいと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、ダニエル・キム教授が提唱している成功の循環モデルでは、結果から入ってしまうと良いサイクルが生まれず、一見遠回りだけれど「関係の質」を上げることで結果も良い結果につながるというものです。
個人的には新入社員にはこの関係の質から入るのが良いのではないかと考えています。
「個」を見ていますというアプローチ
大手企業だと難しいことですが、中小だからできるアプローチとして、
「あなたを見ていますよ」というアプローチだと思っています。
採用にしても、内定者の時期にしても、新入社員の時期もこれを意識していました。新入社員と言っても毎年2~5人程度だったのでできたのかもしれませんが、今思うとこれが早期の離職を防いだ一因ではないかと思います。
採用の時は学生からの質問にはすべてメールで返信をしていました。ここで変に学生に媚びることはせず、会社としての考えもしっかり伝えていました。学生の希望に反することもすべて書いていましたが、これを返すと必ずと言っていいほど説明会に参加してくれました。
内定を受諾してもらった後の内定辞退は一件も経験がありません。
入社後の新人研修期間中は常に寄り添い、顔を見ながらポツンとなっていないかどうか気を配っていました。もちろん様子が変だなと思ったら個別に呼んでじっくり話を聴くことはしっかりやっていました。
コミュニケーションコストを最初にかける
もう随分前の話になりますが、下記の本の作者である諏訪社長のお話を伺うセミナーに参加したことがあります。
諏訪社長は先代の急逝によって社長になられたので、社員とのやり取りで
たくさんの苦労をされていたそうです。
その中で印象に残ったことがありました。それは社長自ら、新入社員と交換日記をしているというのです。社員がノートに書いたことに社長が一人一人コメントを書いて次の日に返すということでした。
私は気になって質問をしました。
「社長という立場でそこまでやるのは時間とか捻出するのは大変なことではないですか?」と。
諏訪社長から返ってきた回答は
「もちろん、時間も取られるし大変です。でも、交換日記をすることで私がどういう人間か知ってもらえるし、社員の個別の話もそこには書いてあります。そこは二人だけの秘密です。それが良かったのかも。
ここで時間をかけることで、後々の仕事がとても楽になります。だから、最初だからこそ時間かけています」ということでした。
この話に感銘を受けたので、その後「交換日記作戦」はしっかり続けていました。新入社員同士で仲良くやっているように見えますが、実はお互いの関係性で悩んでいることが書かれていることはよくありました。
個別の交換日記だったので、書くことができたのかもしれません。これをしたことで早めに手を打つことができました。
人とのコミュニケーションは「見えないコスト」です。かけなければいけないというものではないですが、かけることで本来やるべき仕事が楽に進むことは明らかですし、仕事の楽しさも感じるのではないかと思っています。
また、新入社員にも一人で抱えず人に話すことが大事だということを、やりながら教えていたのかもしれません。
違う道を歩んでも何かが残っていると信じて
ここまでやっても、全員が残っているわけではありません。
結婚で遠くへ行ってしまった人。自分のキャリアを考えて別の道を選択した人。もちろん、10年以上たった今でも会社に残って管理職、リーダーになった人もいます。
結局、何が正解かわからない時代ですが、少なくとも社会に出る一番最初の経験として、良い思い出として残っている・・・と信じています(笑)
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