糖尿病について

前回の自己紹介で記しましたが、自分の専門である糖尿病について、説明しようと思います。

膵臓にある、ベータ細胞からインスリンが出てきますが、インスリンは、血糖値を下げるだけでなく、食事から吸収した糖分を、活動のためのエネルギーや、運動によって筋肉にしたり、運動がないと脂肪にして、栄養にする作用を持ちます。

もちろん遺伝的な要素はあるものの、大抵の場合、過食と運動不足によって皮膚の下や内臓に脂肪がついて、いわゆる太ると、インスリンが効かなくなってしまいます。すると、さらにインスリンを出そうとベータ細胞が頑張るのですが、やがて細胞が疲れてしまい、インスリンを出せなくなります。

こうして、インスリンが効かなくなったり、出せなくなると、糖を栄養に変えることができなくなり、血液中の糖分が上がり、筋肉や脂肪も却って減ってしまい、痩せてしまいます。

糖尿病は、日本糖尿病学会のガイドラインに従い、血糖が、ある決まった値を超えると、診断となります。糖尿病の診断は、概ね痩せてきた時にされることが多いです。その診断を満たさなくても、血糖値が基準値より高いことを、高血糖、境界型糖尿病と呼んだりします。

血糖の管理不良が続くと、はじめは症状もなく、自覚がほとんどないことが多いのですが、個人差がかなりあるものの(外来診療をしていますと、日々感じることです)、合併症といわれる、様々な健康被害に、段階的に至ってしまいます。

さらに、インスリンが効かない状態を、インスリン抵抗性と呼びますが、この時は、血糖以外の健康診断の指標も高く、動脈を硬くして(動脈硬化)、動脈硬化は太い血管が傷つきカスが溜まることで生じますが、溜まったカスが増えると、将来的に脳や心臓の血管を詰まらせます。

また、インスリンが効かないと、ベータ細胞が頑張ってインスリンを出しており、それでも血糖が高く、体のあちこちで細胞が傷つき、傷ついた細胞がインスリンの作用により、どんどん栄養となり増えてしまう可能性もあり、癌が生じるリスクも増えてしまいます。

皆様も、糖尿病、あるいは高血糖に対する対策が必要と感じると思います。予防あるいは治療について、次回以降、説明していきたいと思います。

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