【大人の保健体育】男女が知るべき性ホルモン
突然ですが、男性のあなたは、女性の体調不良や気分の浮き沈みについてどこまで理解をしていますか?
女性の身に毎月なにが起きているかを想像できない男性は、パートナーや女性の同僚・部下に適切な気遣いができず、失望されるかもしれません。
一方で女性のあなたは、どのような男性が年収が高いかをご存知ですか?
実は下記の記事でも解説したように、イギリス人男性の年収を比べた研究により、テストステロンが高い男性は低い男性よりも3~5倍も多いことが明らかになっています。
このように、男性にとっても女性にとってもホルモンは人生に大きな影響を与えています。このことを知っておくだけでも、人生を変えるきっかけになりかもしれません。
今回の参考書籍
今回の教養は下記の書籍を参考に執筆しています。
男女の違いはどこから生まれる?
近年、男女平等が謳われ、性差別のない平等な社会の実現を目指すうごきが活発化しています。もちろん、性別を理由とした不当な差別や不利益があってはなりません。
しかし、生物学的な面からみてみると、男性と女性とではあらゆる点で大きく異なります。
その性差のカギとなるのが男性ホルモンのテストステロンと、女性ホルモンのエストロゲンです。
男性の場合は、受精してから8週間ほどの胎児のときに精巣からテストステロンの分泌が始まります。このテストステロンによって男性器が形成されます。
もともと人間の性器は女性型で、ホルモンの影響によって男性型へと変化していくのです。このように考えると、ホルモンの影響は私たちが考えている異常に大きく感じられますよね。
そして、男児であれば出産1ヶ月前から生後6ヶ月の間に、再びテストステロン値が高まり、脳に影響を与えて脳を「男性脳」に変えていきます。このときの分泌量が多いほど脳が男性化するとされています。
つまり、同じ男性でもテストステロンの影響が強ければより男性的な脳になることもあれば、男性的な側面が少ない人もいるということです。
一方、女性の場合も出産1ヶ月前から生後6ヶ月の間に、テストステロンの分泌量が多ければ男性的な脳になりやすくなります。
昨今、LGBTやジェンダーについて議論が紛糾していますが、男女の性差は「男か女か」といったように、「白か黒か」という二元論的なものではありません。
ホルモンの影響の強弱や濃淡によって、「白もあればグレーもあり、黒が強いグレーもある」といったように、曖昧なグラデーションになっていて多様なものなのです。
それでは、まず男性も知っておくべき女性の性とホルモンについてみていきましょう。
「女性らしさ」のもとになるエストロゲン
いわゆる「女性らしさ」のもとになっているのが、女性ホルモンとも呼ばれる「エストロゲン」です。
女性は初経(※)を迎えると卵巣からエストロゲンが分泌され、この影響によって乳房の発育や身体が丸みを帯び始めるようになります。
さらにエストロゲンの分泌が増えると、骨の両端に存在する「|骨端線<<こったんせん>>(※)」という軟骨組織が閉鎖して、身長が伸びるのを止めます。
男性よりも女性のほうが身長が伸びるのが早い理由は、このエストロゲンによる影響なのです。
また、他にもエストロゲンは下記のような働きをもっています。
子宮内膜を厚くし、妊娠の準備をする
皮膚のコラーゲン合成の促進
骨密度の維持
情緒の安定
体温調節
女性の「気分の浮き沈み」にかかわるエストロゲン
上記のようにさまざまな働きをもつエストロゲンですが、その分泌量は月経周期の影響を受けることが知られています。
月経が終わり、排卵するまではエストロゲンの分泌量が増えます。一方で、排卵後はエストロゲンの分泌量が減るため、心身の状態にも大きな影響を与えるのです。
このように、月経周期によってエストロゲンの分泌が変化するため、体調や精神面に波が生まれます。
月経がない男性には実感できませんが、このようなメカニズムを知っておくことで、月経による女性の体調不良やメンタルのアップダウンへの理解を深めることが重要です。
閉経によってエストロゲンは消える
女性は30~40代になると、卵巣から分泌されるエストロゲンの量は激減し、最終的には閉経にともなって分泌がほぼ止まります。
よく耳にする「更年期障害」とは、閉経の前後約5年を更年期として生じる体調不良のことです。エストロゲンが急減することに体が追いつかずに、下記のような不調があらわれます。
体温のコントロールが難しくなる
皮膚や粘膜が荒れやすくなる
集中力や記憶力の低下
メンタルの悪化
骨密度の低下
関節痛
肩こり
腰痛
「ということは、エストロゲンの分泌が止まったら更年期障害は避けられない?」
と考えるかもしれませんが、そんなことはありません。閉経後に頼りになるのがテストステロンです。
テストステロンはアロマターゼという酵素によって、「エストラジオール」というエストロゲンに変換されるためです。
しかし、テストステロンは副腎から分泌されるため、ストレスに弱い副腎を守るためにもストレスフリーな生活を心がけましょう。
「男性らしさ」のもとになるテストステロン
続いては、男性ホルモンとも呼ばれるテストステロンについてみていきましょう。テストステロンについては上記で挙げた記事でたっぷり解説していますが、ここでは女性も知っておくべきテストステロンの働きについて解説します。
まず、テストステロンには下記のような「男性らしさ」を発現させる働きがあります。
声変わり
陰毛が生える
睾丸や陰茎の発育
筋肉量の維持・増加
意欲や活力をみなぎらせる
その一方で、テストステロンの減少は性欲や性機能の低下につながります。
男性ホルモンとしてのテストステロンはごく一部
さらに、いわゆる「男性らしさ」に貢献するテストステロンは少ししか存在しないため、注意しなければなりません。
「テストステロン」と一口にいっても下記の3つに分けられるように、男性ホルモンとして機能するのはごく一部です。
フリーテストステロン:全体の約2%
アルブミン結合テストステロン:全体の20~30%
SHBG結合テストステロン:60~70%
このうち、男性ホルモンとして機能するのは①の「フリーテストステロン」と②の「アルブミン結合テストステロン」の2つだけです。
さらに、歳を重ねるごとにテストステロンの総量は減り、③の「SHBG結合テストステロン」は増えるため、男性にも更年期障害が起こります。
テストステロンは「正義のホルモン」
ドラマや映画などで正義のヒーローや正義感あふれる男性が描かれるとき、多くの場合、リーダーシップがあり男らしくてカッコいいイメージで描かれますよね。
なぜ、正義感と男らしさは表裏一体なのでしょうか?
その秘密はテストステロンにあることを明らかにした、ドイツの実験があります。
この実験では、90人の男性をAとBの2つのグループに分けて、Aグループにはテストステロンのクリームを塗り、Bグループには偽薬のクリームを塗りました。
その後、個室でサイコロを降ってもらい、「1が出たら1ユーロ」「5が出たら5ユーロ」といったように、でた数字に応じて報酬をわたします。しかし、「6がでたら報酬は無し」、というルールです。
そしてこの実験のポイントは、「出たサイコロの数字は自分で伝える」というルールにあります。
結果:エストロゲンを塗布されると正義感が増した
実験の結果は下記のようになりました。
5と伝えたのはAグループで約35%、Bグループで約62%
6と伝えたのはAグループで約9%、Bグループで約4.5%
つまり、テストステロンを塗ったAグループでは、報酬をもらえない「6」が出ても正直に申告した人が、Bグループに比べて多かったということです。
一方で、テストステロンを塗らなかったBグループでは、報酬が最も多くもらえる「5」を虚偽申告する人の割合が、Aグループに比べて多かったということが推測できます。
この実験の結果から、テストステロンが正義感にかかわることがわかります。
男女に必要なホルモンを増やすには?
ここまで見てきた通り、男女にはそれぞれ必要なホルモンがありますが、男女どちらにも共通して求められるのはテストステロンです。
前述したように、女性のエストロゲン分泌は閉経に伴いほぼゼロになりますが、アロマターゼによってテストステロンをエストロゲンに変換できるためです。
また、女性の場合は大豆イソフラボンの摂取がよいでしょう。大豆イソフラボンは腸内細菌でエクオールという物質に変換され、エストロゲンと同じような働きをしてくれます。
一方で、絶対に避けるべきなのは睡眠不足です。睡眠は、下記の記事でもまとめてあるように、あらゆる健康に重要な役割を果たしているため、絶対に避けなければなりません。
また、テストステロンやエストロゲン以外にも、成長ホルモンやDHEA、メラトニンなどのホルモンはアンチエイジングに効果的であるように、私たちの体はホルモンに大きく支配されていることを意識しましょう。
また、「性の教養」では下記のような記事もよくみられています。
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