お前の人生が惨めなのは無意識のせい!
突然だけど、昨日はなにを食べたかな! 私は野菜たっぷりのミネストローネとお味噌汁を食べたよ! 汁物で被った!
こんなふうに昨日の出来事を思い出すには、意識的に考える必要があるよね! でも、人は「無意識に考える思考」もあるんだ!
そんな話をこの記事で「人間の思考には2種類ある」って解説したね!
おさらいすると、人は下記の2つの思考を使い分けて、エネルギーを節約しつつ合理的に思考・判断をしているよ!
直感的思考、速い思考の「システム1」
注意力や努力を要する遅い思考の「システム2」
システム1はこんなときに働くよ!
1+2の答えを言う
でかい看板に書かれた文字を読む
グロテスクな写真をみたときに顔をしかめる
一方でシステム2にはこんなときに働くよ!
納税申告書を書く
赤い服を来た女性を探す
狭いスペースに縦列駐車する
つまり、常に作動していて、注意力や集中力をつかわずに処理するのがシステム1!
基本的に怠け者で、難しい問題を処理するために注意力や集中力をつかうのがシステム2! って感じ!
連想の力は強い!
ここではシステム1の驚くべき能力を感じてもらうよ!
突然だけど、この言葉をみてほしい!
この2つの言葉を目にした瞬間、無意識にいろんなイメージをしたんじゃないかな! たぶんそれは汚いイメージや嫌悪感を感じるイメージで、顔をしかめたかもしれない!
でも、そのイメージは意識的にコントロールできることではなく、システム1が勝手に汚いイメージを連想させたんだ!
システム1は「バナナ」と「ゲロ」を勝手にイメージのなかでくっつけて、因果関係で結びつけた人もいるだろう! こうした連想は「思考」ではなくもはや「反応」だね!
しかもなんの努力もせずに自動で行われる! 「バナナ」と「ゲロ」の連想は自分がそうしたいかしたくないかは無関係だし、止めたくても止めらんないよ!
この自動機能が直感的思考であるシステム1の驚くべき働きなんだ!
連想や反応はコントロールできない!
この働きは「連想活性化」と呼ばれるよ!
はじめにイメージしたことがまた別のイメージを思い浮かばせ、脳内で勝手に連想ゲームが始まっていくんだ!
言葉は脳の奥底から記憶を引っ張り出すきっかけとして働くよ! そして、思い出した記憶は感情をかきたて、感情は表情や体の反応を促すんだ!
例えば、
トイレ
吐瀉物
という2つの言葉を目にしたとき、汚いイメージをして顔をしかめる人もいるかもしれない! こうした体の反応もシステム1によって、無意識に行われているよ!
お前は大企業にコントロールされている!
こうした連想によってお前らは大企業にいいように操られているワケだ!
「いやいや、陰謀論かよ(笑)」
という人もいるんじゃないかな!
ここで簡単なクイズ! 下の文章を完成させてみよう!
○にはどんな文字をいれたかな?
たぶん、「ス」をいれて「いい香りのスープ」という文章を作ったよね!
でも、「ソ」をいれて「いい香りのするソープ(石鹸)」でも文章は成り立つんだ! それなのに「スープ」だと思ったのは、周囲のイラストによって食べ物のイメージが連想されやすくなったからだよ!
これは「プライミング効果」と呼ばれるものだ!
「プライム」とは、先に受けた刺激や情報のこと!
そしてこの場合、「『食べ物のイラスト』はスープのプライム(先行刺激)である」というよ!
さらに、この記事の冒頭でも食べ物の話をしたよね! これもプライムであり、お前はすでに食べ物のプライムを受けていたから、食べ物のイラストがなくても多分「スープ」と連想していたはず!
逆にイラストを石鹸やシャンプーなど、「ソープ」を連想させるものにすると、今度は「いい香りのソープ」と連想するよね!
こうした連想の力を企業は上手につかっているよ!
といったり、「石鹸のイラストはソープのプライムである」と言うんだ!
そしてこのプライミング効果は強力で、自分でコントロールすることはできないんだ!
例えばダイエットをしているとき、食べ物に関する写真や広告、言葉に対していつも以上に意識が向いてしまうことがあるんじゃないかな!これもプライミング効果だ!
プライムとなるのは言葉やイラストだけではない!
驚くことに、私たちの思考や行動を無意識に変えるプライムとなるのは、言葉やイラストだけではないということ!
このことは、ニューヨーク大学のジョン・バルフ教授が行った研究で明らかになっているよ!
実験の手順はこう!
被験者となる学生をいくつかのグループに分ける!
学生にいくつかの単語のなかから短文をつくらせる!
(例えば「彼/黄色/見つける/すぐに/それ」など)あるグループだけ文章の半分に、高齢者をイメージさせるような単語を混ぜておく!
(例えば「はげ、しわ、忘れっぽい、杖、孤独、白髪」など)
この実験後、学生には別の実験があるといって別の教室に移動してもらったんだ! この短い移動こそ、この実験の重要なところだよ!
実は、実験者は学生たちの移動スピードをこっそり測っていたんだ!
すると予想通り、「はげ、しわ、杖、孤独」など高齢者をイメージさせる単語を扱ったグループは、他のグループよりも明らかに歩くスピードが遅くなったことがわかったよ!
つまり、「高齢者」のプライムを受けた被験者は、無意識のうちに高齢者のようにふるまうようになったんだ!
イメージで行動が変わる「イデオモーター効果」!
この実験ではさらに驚くべきことが2つある! それは、
だされた単語に「高齢者をイメージさせる単語」という共通点があることに気づいた学生は、1人もいなかったこと!
学生は「短文をつくる際に扱った単語から影響を受けたはずはない」と主張したこと!
つまり、「高齢者」のイメージや観念は、学生たちの意識には全くあらわれていなかったんだ!
でも実際、学生たちの行動は変わった!
こうしたイメージや観念によって人の行動がかわる現象を、「イデオモーター効果」というよ!
イデオモーター効果は逆にも働く!
このイデオモーター効果は逆向きに作用することも確認されているよ!
ドイツの大学では、ジョン・バルフ教授の実験を反転させた実験が行われたんだ!
実験では、室内を通常の3分の1のペースで歩くように学生に指示したあとに、問題をだしたよ!
すると「忘れっぽい」「年老いた」「孤独」など、高齢者を連想させる単語を、通常よりはるかに速いスピードで認識するようになったんだ!
つまり、
「高齢者」というプライムを受けると、人は無意識に老人らしく行動する
老人らしく行動すると、「高齢者」に関する情報を無意識に集めるようになる
ってこと!
この2つの実験によって、本人に気づかれずに影響を与えて行動や観念を変えることは難しくないことがわかるね!
私たちが日々見ているワイドショー番組や広告、ドラマや映画の何気ないワンシーンによっても、大衆の無意識や行動に影響を与えているんだ!
▼あわせて読みたい!▼
イデオモーター効果を日常で活用する方法!
このイデオモーター効果のスゴイところは、「完全に無意識下で働くこと」だね!
つまり、イデオモーター効果をうまく利用できれば「努力していると感じずに努力する」ことができるんだ!
例えば、受験生が部屋の壁に目指している大学の写真を貼ったり、スマホの壁紙をやる気が出る名言にしたりすることは、無意識に働きかけるイデオモーター効果を活用しているいい例といえる!
もちろん、勉強だけじゃなく仕事にも使えるよ!
集中して仕事に取り組みたいならマンガやゲーム、スマホなど「遊び」「余暇」「休憩」を連想させるようなモノが視界に入らないようにするべきだ!
お前の部屋にはなにがあるかな! なにがあろうとなかろうと、その全てはプライムとなってお前の無意識に働きかけていることを忘れてはいけない!
だからこそ、自分にとって好ましい影響を与えるモノや環境を整えることはとても大事なんだ!
▼あわせて読みたい!▼
表情と意識はつながっている!
こうした行動と意識のつながりは、イデオモーター効果以外ににもあって日常生活で活用することができるよ!
例えば、楽しいときは自然と笑顔になるけど、先に笑顔をつくることで楽しくなることだってあるんだ!
これは実験でも確かめられているよ!
鉛筆を縦にくわえてしかめっ面の状態でマンガを読んだ被験者よりも、鉛筆を横にしてくわえて表情を笑顔に近い状態にしたままマンガを読んでもらった被験者のほうが、マンガをおもしろいと感じたんだ!
こうした単純でありふれたことでも、私たちの考え方や感じ方に影響を与えることはできるよ! だから「毎日つまらん」と感じているなら、おもしろくなくてもまず先に笑顔をつくって過ごしてみてほしい!
すると、仕事や食器洗いなどの普段は楽しくない作業でも、すこし愉快な気持ちで進められるよ!
頷くと肯定的、首を横に振ると否定的になる!
「いやいや、そんなの信じられない。そんなことで感情が変わるわけない」って?
そんなお前に、行動と意識がつながっている実験をもう1つ紹介しよう!
実験はこんな感じ!
音質チェックという名目で、被験者にはヘッドフォンであるメッセージを聞いてもらう!
音の歪みを調べるために、聞きながら頭を動かしてもらう!
一方のグループは頷くように頭を縦に、一方のグループは首を振るように頭を横にふってもらったよ!
この結果、頷くように頭を縦に振ったグループでメッセージの内容に賛成し、左右に首を振るグループは反対したんだ!
身体的な肯定・否定の動作によって、意識とは無関係に自分の考えが影響を受けてしまうんだね!
この心理効果を日常で活用する方法は、自分がどんなときも周囲にやさしく親切にすることだ!
周囲にやさしく親切に行動することで、自分の意識にも働きかけることができるから、自分も親切でやさしい気分でいられるよ!
「イエス」がほしいときは「イエスセット法」!
もしお前が相手に「イエス」と言ってほしいなら、誰しもが「イエス」と答えられるような質問を何度も投げかけて、相手が肯定的に頷くように仕向けていくと効果的だ!
これは「イエスセット法」と呼ばれる会話のテクニックで、「イエス」と答えてほしい本命の提案や質問に入る前に、イエスと答えられる質問を重ねるテクニックだよ!
「イエスセット法」では、人は行動や信念、態度を一貫させたいという「一貫性の法則」や、さっき解説した「プライミング効果」を使っているんだ!
一方で、もし相手がずっと肯定できる質問ばかりをしてきているなら、相手はお前になにか承諾させようとしている可能性があるから注意しよう!
こんな感じで、知識は自分の武器にもなれば、身を守る盾にもなるんだ! 知っているだけで得をしたり、知らないだけで損をすることもあるからバカなだけで人生ハードモードになるんだね!
お前の選択・判断は環境・広告が決めている!
ここまでみても、
「オレの判断や行動、選択はすべてオレサマが決めてるぜ!」
と思ってるアホはいるかな⁉
いないとは思うけど、私たちの判断や行動は自分で意識的にすべて決めているわけではなくて、無意識下でさまざまな影響を受けているんだ!
影響を与える「刺激(プライムというよ!)」は、たまたま目に入った看板の文字や広告の映像かもしれないし、近くの人の会話から聞こえてきた言葉やお店から流れてくるカレーの香りかもしれない!
そうした、意識にのぼらないプライムが、私たちの意識に大きな影響を与えているよ!
だから、自分ですべてを決めていると考えるのはおこがましいというか、うぬぼれているというか、無様だよね!
こうしたプライミング効果を確かめた実験はまだあるから紹介していくよ!
選挙の投票ですら自分で決めていない!
実は、選挙の投票行為ですら私たちは自分で決めることができていないんだ!
一般的に投票行為は、自分の考えに考え抜いたうえでの行動であり、自分の価値観や境遇、政策評価を反映しているから無関係の要素には影響をうけないと考えられているよ!
例えば、投票所が学校のとなりにあるからといって、子どもに優しい政党に投票する人が増えるとは思えないよね!
でも、実際はこうした無関係な要素の影響も受けているんだ! アメリカのアリゾナ州にあるいくつかの選挙区で行われたある調査を紹介するよ!
この調査では、学校に対する補助金を増額する政策への賛成票が、投票所が学校の場合はそうではなかった場合よりも明らかに多かったことがわかったんだ!
また別の実験でも、教室やロッカーの写真をみせられた人は、学校関連のプロジェクトを支持する割合が増えたことがわかっている!
自分の強い意志を社会に反映させるための重要な手段である選挙ですら、場所や写真といった無関係の要素でかんたんに操られてしまうんだ!
「お金」のイメージで人は変わってしまう!
プライムのなかでも「お金」をイメージさせるものはあまりよい影響をもたらさないよ!
ある実験では、いくつかの単語のリストのなかから、その単語をつかってお金に関する表現をつくる課題を被験者に与えたんだ! 単語は「高い、額、給料、デスク」みたいな感じ!
さらに間接的な刺激として、お金に関係あるものが室内にさりげなく置いてあったんだ! 例えばボードゲームで使うおもちゃのお金や、壁紙をお札にしたパソコンとかね!
この結果、お金のプライムを受けた被験者は、受けなかったときよりも粘り強くなったんだ! 実験中に与えられた難問を解くのに通常の2倍の時間かけた末に、ようやくヒントを求めるようになったよ!
つまり、自立性が高まったといえるんだ!
お金のイメージは人をエゴイストに変える!
「粘り強くなったり、自立的になったんならいいじゃん!」
と思うかもしれないが、お金のプライムを受けたことで利己心も強まってしまったよ!
お金のプライムを受けた被験者は、一緒に課題にとりくんでいた別の被験者(実はサクラ)を手助けする時間を惜しむようになったんだ!
さらに鉛筆の束を床に落としたとき、拾ってあげた本数がほかの被験者よりも少なくなったよ!
個人主義と資本主義は心理的な面から見てもつながっていたんだね!
「お金」のイメージは人との関わりを避けさせる!
また別の実験では、被験者は「初対面の人と対談してもらうから、実験者が対談相手を連れてくる間に、イスを2脚用意しといて!」と指示されるよ!
ttその結果、お金のプライムを受けた人は、そうではない人よりもイスの間隔を離したんだ!
お金のプライムを受けた人は118cm、そうではない人は80cmで、その差は38cmもあるよ!
さらに、お金のプライムを受けた人は、1人でいることを好む傾向にあることもわかったんだ!
このように、お金は人を個人主義的な価値観に変えてしまうんだ! つまり、人との関わりや他人への依存、他人からの要求を拒むようになるんだね!
国家もプライミング効果を上手に使っているよ!
こうした強力な効果をもつプライミング効果は、国家によっても巧みに活用されているんだ!
例えば、日本は「歳上は敬うべきである」や「年長者に従うべきである」「上下関係が絶対である」といった価値観を日常的に思い起こさせる文化があるよね!
これもプライミング効果で、年功序列的な価値観を無意識に刷り込ませる働きがあるよ! 今でこそ変わりつつあるけれど、まだまだこの価値観は根強く残っているよね!
その一方で「神」を思い起こさせる文化の国もあれば、「偉大なる指導者」の巨大な写真や銅像をいたるところに置いて、「服従」というプライムを国人に与える国もある!
街中のあらゆるところに監視カメラを設置して、常に「見張られている」という意識を国人に与えることで、自分の頭で考えたり行動する気持ちを削いで国の言いなりにする方法もあるね!
「自分は大丈夫」って?バカかお前は!
「怖いね~。自分は大丈夫だけど、操られる人もいるんだ~」
って思ってない⁈ それは大きな間違いだ!
なぜなら、プライミング効果が働くのはシステム1だからだね! システム1は全く意識にあがってこないし、意識もシステム1にアクセスすることはできないんだ!
これがわかりやすく示された実験を紹介するよ!
見られていると感じると人は行動を変える!
この実験はイギリスの大学にあるオフィスで行われたもので、オフィスのキッチンには紅茶とコーヒーが置いてあり、それをセルフサービスで利用した人は代金を近くの箱にいれておく決まりになっていたんだ!
箱の横にはしっかり値段表もあるよ!
ところがある日、予告なく箱の横に写真を添えるようにしたんだ! 写真だけで、注意書きや説明は一切ない! 写真は1週間ごとに変えていき、10週間つづけたよ!
はじめの一週間はこちらをじっと見つめる目の写真、次の週は花の写真、といった感じに交互に目と花が集金箱の横に添えられたんだ!
なんてことないただの写真だったから、普段から利用しているスタッフの間でも特に話題になることはなかったよ!
この結果、箱のなかにいれられるお金の額はどうなったと思う? 写真1枚で変わるわけがないと感じるよね!
でも驚いたことに、週によって箱にいれられる金額に明らかな違いがでたんだ!
なんと、「目の週」の金額は、「花の週」のおよそ3倍にもなったんだ!
これは、「見られている」という感覚によって、人の行動が変化したことを示しているよ! たった1枚の写真を添えるだけで、人の行動がこうも変わるとは驚きだよね!
結論:無意識はスゴい
こんな感じで、ちょっしたことでも人の行動を変えることができるし、人の行動はかんたんに変わってしまうんだね!
しかも完全に無意識のうちに!
つまり、私たちの行動のほとんどは無意識に影響を受けていて、意識的に決定していることなんてのはごくごく一部に過ぎないんだ!
だからこそ、日常的に目にするモノや風景、日常的に行う思考や口グセなどには十分に注意しておきたい! 方法次第では人生を惨めなものにすることもできるし、努力していると感じることなく苦労せずに成功することだって可能かもしれない!
無意識はスゴい!
「心理学の教養」では、こんな記事もよく見られているよ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?