子供や部下の才能を伸ばす神フィードバック術
まずはじめに、本noteの結論を伝えます。
子どもに「勉強をしろ」という親は教育者失格
部下に「報連相がなってない」と叱る上司は無能
以上です。
え? いきなりわけがわからない?
そう感じた方は本noteを読むことで、最高の親として、または有能な上司として生まれ変わるでしょう。
教育・子育てや人材育成において重要なフィードバック
人材育成や教育・子育てにおいて重要な要素の一つが、フィードバックです。
あなたは部下や子どもに対して、適切なフィードバックができているでしょうか?
また、フィードバックによって部下や子どもの能力を伸ばすことができているでしょうか?
フィードバックはビジネスだけではなく、親から子への教育としてのフィードバックもあり、その本質は変わりません。
本noteでは下記の書籍を参考に、最高のフィードバック術を解説していきます。
著者の坪田信貴氏は、ベストセラーとなった「ビリギャル」でおなじみの「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の作者です。
自身が生徒を指導する教育者でありながら、起業家・経営者でもありマルチな才能を発揮している坪田氏は、フィードバックにおいて重要なことは中立的であることだとしています。
そして、中立的なフィードバックこそ人の能力を伸ばすとしています。
中立的なフィードバックとはどのようなことか、見ていきましょう。
人はフィードバックがあればより良くなろうとする
坪田市は「人はフィードバックを受けるとより良くなろうとする生き物」としています。
例えば、あなたが鏡の前に立ったときのことを考えてみましょう。鏡を見てみると寝癖がついていて、寝不足で目にはクマができていました。普通なら寝癖を治し「今日はゆっくり寝よう」と考えて、改善しようとしますよね。
鏡を見るという行為は、自分の見た目に関するフィードバックを受るのと同じといえます。
これが「人はフィードバックがあればより良くなろうとする生き物」の意味です。
ネガティブ・フィードバックは逆効果
ところが、この鏡がいちいちネガティブ・フィードバックをしてきたらどうでしょうか?
「髪がおかしなことになってるよ、変だね。しかも顔もやつれてて不気味だし、シワも深くなってるね。服もダサいし、太ったよね?」
こんな風に、とにかくネガティブなことばかり言ってくる鏡だとしたら、見るのもイヤになるでしょう。
ただここで何より重要なことは、そんなネガティブ・フィードバックばかり受けると改善する気にならないということです。
しかし、お気づきでしょうか? あなたを含めた多くの人はこのようなネガティブ・フィードバックをしていることに。
例えば、あなたは仕事や業務についてミスをした時や、うまくいかなかった時だけ上司や親にネガティブなフィードバックをされたことはありませんか?
また、部下や子どもがミスをした際に、そのことを指摘したことはありませんか?
それはネガティブ・フィードバックであり、改善の意欲を失わせる最悪のフィードバックなのです。
中立的なフィードバックが最も良い
では、どのようなフィードバックをすれば良いのでしょうか?
坪田氏は「中立的なフィードバック」が、部下や子供の能力を伸ばす一番簡単なフィードバック術だとしています。
では、中立的なフィードバックとはどのようなものでしょうか?
それは「評価を挟まず事実をそのまま伝えること」を指しています。
例えば先程のネガティブ・フィードバックをしてくる鏡の例では、鏡は事実をネガティブに変換して伝えてきており、鏡が勝手な評価を下しているといえます。
また、鏡に写った自分の髪型を見て「変だなぁ」と感じても、それは自分の「評価」でしかないのです。
しかし、自分が鏡を見たときに写るものは「善」も「悪」もない、ただの事実でしかありません。
中立的なフィードバックでは本人にその気を起こさせる
中立的なフィードバックが良い理由は、本人に改善する意欲を湧き上がらせることができることです。
例えば、あなたの子どもが猫背のままスマホをいじっているところをイメージしてみてください。猫背のままだと呼吸が浅くなり脳が酸欠に陥ることで、頭がボーッとしたり頭痛につながるだけではなく、体の歪みにもつながります。
なにより猫背の人は見栄えが悪いため、親として子どもには背筋を伸ばして育ってほしいものです。
と、ここで多くの親は「背筋を伸ばしなさい!」と叱りつけてしまうかもしれません。しかしこれはNG。子どもはうるさい親がいない自室にこもってしまうでしょう。
では、「姿勢が悪いよ」と姿勢の悪さを伝えてみましょう。
しかしこれもNG。これは先程解説したネガティブ・フィードバックにあたるため、本人に改善する意欲を湧き起こすことはできません。
ただ事実を伝えるのが「中立的なフィードバック」
ここでようやく登場するのが中立的なフィードバックです。
中立的なフィードバックでは、ただ「背筋が曲がっているね」と言うだけ。
注意するべきは言い方です。悪意も善意もなく、ただ客観的な事実だけを伝えましょう。
または、猫背になっている姿を写真で撮り、相手にただ「見せるだけ」でも良いでしょう。
こうすることで、自らの意思で背筋を伸ばすようになるのです。
馬を水辺に連れていくことはできても、馬に水を飲ませることはできない
このようなことわざを聞いたことはないでしょうか。
つまり、人は子ども・部下に対して成長や改善の機会を与えることはできても、それを受け入れるかどうかは本人次第ということ。
いくら親・上司が相手のためを思って言っていたとしても、それが相手にとって受け入れる気になるかどうかは別問題なのです。
中立的なフィードバックだけで才能を引き出せる
親が子どもの才能を、上司が部下の才能を最大限に引き出す最も簡単な方法は、「中立的なフィードバックをただひたすら続けること」です。
「中立的な」というのは、自分の価値観や考え方を反映させないことです。
中立的なフィードバックを続けることで、子どもや部下がもともと抱いている「自分が目指す最高の自分像」や「自分が信じる価値観」を体現するようになります。
なぜなら、中立的なフィードバックは「何も言わずに事実を映し出す鏡」だからです。その鏡を見せることで、今の状態が本人の理想とはかけ離れていることを押し付けることなく伝えられるのです。
子どもをコントロールしようとしない
子どもに対して、
「どうして勉強しないの?」
「どうして言うとおりにしてくれないの?」
と言うのは、相手をコントロールしようとしているのと同じです。
意識的に「相手を支配してやろう」「コントロールしてやろう」と考えていない場合でも、子どもからすると「親の都合の良いように動かなければならない」と感じてしまいます。
このようにコントロールされることに対して、楽しさや気持ちよさを感じる子どもはほとんどいないでしょう。
したがって、やはりするべきことは下記のような中立的なフィードバックです。
「今日は1時間勉強したね」
「△△は間違えやすいね」
「○○を覚えたね」
部下をコントロールしようとしない
子どもと同じように、部下をコントロールしようとするのもNGです。
例えば、部下が上がってくるはずの書類が約束の時間を過ぎても上がってこないときのことを考えてみましょう。あなたはいつまでも書類を持ってこない部下に対してイライラを募らせます。
そこにようやく書類を持ってきた部下。あなたはイライラのあまりこう言っていまうでしょう。
「なんで言われた通りに仕事ができないんだ?」
しかしここまで見てきた通り、この場合においても大切なことは中立的なフィードバックであるため、下記のように伝えるのがベストです。
「約束の時間はいつだった?」
この質問の良いところは、こちらの価値判断を挟まずに事実だけを尋ねて、相手に答えさせる点です。
成長には「自分で気づくこと」が必要不可欠
子どもや部下に成長してほしいのであれば、本人が自分で気づかなければなりません。
自分で気づくことで、自身の問題を見つける能力も身についていきます。また、問題や課題の存在に自分で気づくことで初めて改善する気になれるものです。
そして、中立的なフィードバックを受け続けることで、先生となる親や上司がいないときでも、常に「鏡」を見ている状態になれます。これがいわゆる「メタ認知」というものです。
メタ認知とは、「自分がどのような認知をしているのかを認知する」ことであり、この能力が身につくことで常に自分の理想と現実のギャップを認識できるようになります。
この結果、子どもや部下はひとりで成長し、才能を伸ばしていくでしょう。
相手を「指導」しようとしない
そもそも、人に対して「指導」することはできず、しないほうがいいのです。
「指導」ではなく「中立的なフィードバック」をひたすらしましょう。
例えば、自転車に乗れない人に対して自転車の乗り方を言葉で「バランスを取って足でペダルを漕ぐんだ!」「なんで倒れるんだ?!」と熱血指導したとしても、乗れるようにはなりません。
そうではなく、乗っている様子を動画で撮影して見せたり、「毎回右に傾いているね」と中立的なフィードバックをすることで、本人に自力で気づいてもらうことが重要です。
ネガティブフィードバックは自分も傷つける
「お前はバカだな」
「なんでできないの? どうしようもない子ね」
といったような、ネガティブフィードバックやマイナスな感情をぶつけると、相手だけではなく自分も傷つけてしまいます。
上司が部下に対して「お前はバカだ」と言った場合、相手が傷つくのは当然ですが、言っている側も嫌な気持ちになっているのです。
これは、人間の脳が「主語」を理解できないため起こる現象。つまり、脳は「自分に対してもバカだと言っている」と認識してしまうのです。
したがって、相手にネガティブフィードバックやマイナスな感情をぶつけると、相手も自分も疲弊してしまいます。
「何を言ったか」より「どう伝わったか」が重要
子どもや部下の才能を伸ばすには、普段からどのようなコミュニケーションを取るかが重要です。
そして、コミュニケーションおいては「自分が何を言ったか」ではなく「相手にどう伝わったか」が全てです。
そして心理学の世界では、「言語情報と非言語情報が一致していないと相手には伝わらない」とされています。
では、「言語情報」と「非言語情報」とはどのようなものでしょうか?
言葉が7%、聴覚が38%、資格が55%
「言語情報」とは、発した言葉のことです。
一方で、「非言語情報」とは文字通り言語ではない情報のことで、具体的にはジェスチャーや表情、声のトーンや話すスピードなどが当てはまります。
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン氏が提唱した「メラビアンの法則」によると、人がコミュニケーションによって情報を得る際に受ける影響の割愛は下記のようになっているようです。
言語情報(言葉そのもの):7%
聴覚情報(声のトーンなど):38%
視覚情報(表情やジェスチャー)55%
なんと、言葉から受ける影響はたったの7%しかなく、表情やボディランゲージなどの視覚情報からは半分以上も影響を受けるのです。
コングルーエンシーを一致させる
「言語情報(発した言葉)」と「非言語情報(表情、仕草、声のトーン、声量など)」が一致していることを、心理学用語で「コングルーエンシー」といいます。
しかし、このコングルーエンシーが一致していないと、相手に言葉は伝わらないとされています。
繰り返しになりますが、「自分が何を行ったか」ではなく「相手にどう伝わったか」が全てなのです。
例えば、外で友達がスマホ歩きをしているとき、後ろから走る車が近づいてきたら、気づいてもらうために「危ない!」と必死で叫ぶでしょう。この場合、コングルーエンシーが一致しているため相手に「危ない」という言葉が伝わります。
しかしこのとき、穏やかな表情で優しく「あぶないよ~」と言うとコングルーエンシーが一致していないため、相手には危険な状況が伝わりません。
「教育・子育ての教養マガジン」では下記のように、親が知っておくべき教養を紹介しているのでぜひご覧下さい。
また「ビジネス・仕事術の教養」では下記のように、ビジネスパーソンが知っておくべき教養を紹介しているのでぜひご覧ください。
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