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アーユルヴェーダごはん ヌチグスイ*④

暑い。食欲がいきなりダメージを受ける。何を食べると元気が出るのだろうか?

考えるうちに、フト思い出した、スリランカのリトリートで食べた健康ごはん。編みかごにバナナの葉っぱを敷いて、好きなものを土鍋から掬って自分の食べる分だけのせる、薬膳バイキング?コレがわたくしの体調に極めてマッチングしたのである。スプーンと箸は、ココナツの木でできていて、黒くて軽く、唇や歯や舌に当たる感触がなんとも優しい。料理を口にするまでは、食べ慣れないスパイスの刺激がキツイのではないか?と危惧したけれど、日本人に合わせてかなりマイルドな加減にしてくれていた。ありがたい。

宿泊施設の周りは、よく手入れされている田んぼと畑が広がっていた。そこの責任者のヨギのような風貌のおじいさん(に見えたけど、年齢を聞いたらツアーメンバーと同い年だった!)と数名の農夫さんが毎日丹精込めて世話する野菜とハーブが食卓に上るのである。

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朝のヨガからの帰り道、やっと用心深い孔雀を見かけることができた。彼らが田んぼのあぜ道をスタスタ歩いて害虫や蛇などの爬虫類を食べて無農薬農法を助っ人してくれている。突然肝を抜かれるような大きなの鳴き声を発するのが少々困りものだったけれど、滞在するうちにわたくしも慣れてきた。孔雀のほかにもたくさんの益鳥、益虫もいるのだろうと想像できた。美しい緑の稲の波の上を渡って吹く風は、ほんのりと馨しく柔らかかった。

そして、そこからの食材を使った肝心のメニューは、砂糖も肉も、日本食の調味料もなく、スパイスとにんにくとココナツオイルと塩で味付けされる。その分食材の持ち味がはっきりしているので、何を口に入れているか、わかりやすい。食材に苦みのあるものは苦く、酸味のあるものは酸っぱいおかずになる。きわめてシンプルで飽きが来ないのである。これが結構わたくしには合っていて、とてもおいしく感じられ、食後のだるさやもたれ感、物足りなさもない。お米は赤米やパラリとした白米だったが、一向に気にならなかった。豆がどっさりと入ったスープも大変美味しかった。煮込みすぎない、ソースなどのない調理は、食材のにおいもまた料理に味の深みを与えるのだなあと改めて感じる機会にもなった。とはいえ、スパイスの取り合わせなどは複雑で微妙な加減をはかっているのだろう。わたくしには、ただ美味しいことだけしかわからないのだけれど。

料理に加えて、スリランカには10種類以上あるというミニサイズのバナナ、スイカ、メロン、パパイヤなど夏の果物がついていた。飲み物はアルコール禁止でハーブティーが基本。このお茶のデトックス効果もかなり有った。これを窮屈と感じるかどうかは人それぞれだけれど、わたくしには自分で調達・コントロールする苦労なしに、健康メニューが用意されているのはとてもありがたい経験だった。

食堂には、ここで収穫できるハーブや野菜の特徴や効能を解説したファイルが置かれていた。そこに、以前から気になっていた、知性のハーブと謳われる、葉っぱがハートのような形をしたツボ草(ゴツゴラ)が取り上げられていた。英語で書かれていたそのファイルにもやはり、「血流をよくする、脳機能に良い、抗酸化作用、抗ウイルス作用」などと表記されていた。嬉しくなったわたくしは、そのページを指さして、「このハーブは今ここにあるのですか?」と質問した。「ありますよ、スープにしたり、サラダにして食べるほか、お茶にもできます。」とのこと。

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その返事を聞いて、わたくしはますます喜んでしまった。日本では生で食べることは、まずできない、薬草ツボ草。どんな味なんだろう?とワクワクと想像した。すると、その質問のあとの食卓で、早速ツボ草をココナツと一緒に刻んだ見た目は白和えのようなサラダが供された。ココナツのほの甘い匂いが苦みをやわらげ、小さく刻んで食べやすくしてくれたけれど、結構しっかりとした繊維質のある濃い緑の一品だった。この味は嫌いじゃないな、としっかり味わい、低下の一途をたどる脳機能に良い影響を与えてくれますように、といただいた。帰国前に立ち寄ったスーパーでツボ草茶のティーバックを買い求めたけれど、すぐに飲みきってしまった。疫病の関係からか、通販でもスリランカのそのお茶は手に入らないようだ。

スリランカ産ではないけれど、フェアトレードのツボ草のお茶をやっと見つけたので、時折購入させていただいている。

https://parmarche.com/pages/story/herbtea/herbaltea_circle2/

生のツボ草に日常生活でお目にかかることはなかなかにできないが、こうしてお茶は入手することができる。スッキリと冴えた頭脳でありたいという願いも込めて、ツボ草のお茶を頂く。そうすれば、わたくしのポンコツな脳も多少デトックスされて、日本の高温多湿の過ごしづらい夏を乗り切る手助けにもなってくれるだろうか。

口中のほろ苦い風味が、スリランカの食堂の木陰と吹き抜ける風をわたくしに彷彿とさせてくれる。南国のゆったりとした健やかな時間が懐かしい。

そうだ、このお茶に合うスリランカ風のメニューを今晩の食卓に並べてみよう。スリランカの暑さとは違うけれど、きっと夏バテに効くに違いない。


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