ィイ・ヤシロ・チvol.66 天狗の御使い旅その5 富士山⑤
朝からすっかりと完了モードのわたくしは、気抜けとやや不全な体調のため、省エネモードに切り替えた。ツアーというのはこういう状況で大変に有難かった。
つづく二社目は、金運神社として人気らしい、新屋山神社。ほどなくきれいに整備された広々な駐車場に着き、鳥居前まで少し歩いた。つい最近まではなかった駐車場とかで、多くの参拝者が押し寄せた結果の新設らしい。
特に思うこともなく、皆さんの後にそろそろとついて、無事にツアーを終えれば上等の心境のわたくし。此方の神社については、全くリサーチもしていなかった。
わたくしは、金運もほどほどに、自分のお金を使う力量に持ち合わせがそろっていることが一番幸せに近いと日頃から考えている。もう既に、こうやって参拝旅に出られるだけでも、十分に恵まれており、後は身軽を旨としたいと考えているから。そんなやる気ゼロの金運神社参拝だったけれど、やはりそれなりに、得るものはあるのだ。
関西の神社と比べると、落ち着いた赤が塗装されている。シックな感じが素敵だなとすっかり鑑賞気分。
ご挨拶をさせて頂くけれど、「金運を!」という気持ちは全然わいてこないので、とにかくこのツアーを無事に終えられますようにとだけ祈った。
周囲を観察していると、次々と訪れる参拝者が一生懸命に祈っている様子に、こうして人の仔の想いが集まることが神様にパワーを集めるのだと実感した。授与所では金運アップのお守りなどを楽しそうに選ぶ姿も、微笑ましく感じた。
此処で、わたくしは天狗さんのおみくじ(ヘッダー画像)をひき、後は境内の摂社や末社をサラリとまわった。拝殿右手奥に、見つけたお社が↓。
個人的に大好きな女神さま、イワナガヒメの社だと知り、少しスイッチの入ったわたくしは、その社の名前を見て思い出した。
「そうだ、山梨エリアは、冨士山小御嶽正真坊さん担当だった。」この水晶が置かれている社の名も正真坊さんと同じ。イワナガヒメと天狗さんは関係があるのだろうか?またしても、いろいろと疑問がわいてくる。
こうしてこの瞬間から、またいつもの巡拝モードとなって、天狗へのベクトルがぐんと延びたわたくしである。とはいえ、まったく何も知らない天狗さんのこと。まずは、小御岳のことから、少し調べてみよう。
そして、天狗とはどんな存在なのか?
流星だった、というところから、日本独特の造形を取り始めた理由が少し↓の本で分かりそう。
天狗さんのファッションは修験者のそれと同じだな、と以前から思っていた。また修験者の出で立ちはユダヤ教のラビとも共通すると聞いたことがある。ユダヤ教についてもさっぱりと無知なので、なんとも言えないけれど、天狗さんのビジュアルに現れるとなれば何かしらの関係があるのかもしれないな、とぼんやりと考えた。
ユダヤ教徒のラビと修験道の修行者は何かのきっかけでそのファッションを共有し、それが山奥で一般人に目撃されて「天狗」のイメージに定着したのだろうか?などと夢想してみた。
それが転じて、修行者が天狗になるという話へと発展したか?興味深いことだ。この流れに沿っているのか、ツアーは次に、富士講信者の生まれなおしスポット、富士山の溶岩が樹木を焼き溶かした後に出来上がる船津胎内に向かった。
狭くて暗い場所が不得意な方には不向きだけれど、ちょっとした探検気分も味わえる、神秘的な火山活動による生成地形。修行者たちは、此処で生まれ直して、心機一転苦行にチャレンジしていったのだろう。
わたくしは生来のヘタレ気質なので、此方のダンジョンも簡単コースを選択し、ちょこっと修行体験をさせていただいた。
江戸時代から始まった富士講、富士信仰は女人禁制だった。つまり、令和の現代であるからこそ、女性のわたくしも此処にもぐることが可能だったと知ると、つくづく現代日本という時間と場所に生きていることの値打ちを実感する。
そして、なんだかんだ不平不満はあったとて、こんなに良い条件で暮らせるのは、奇跡的なほどに幸運なのだと悟る。ヘタレなわたくしが優しい時代と国に巡り合わせていただけたことを、どこにどうお礼申し上げればいいのだろうか。
そんな嬉しがりの五十路おみなを、高い木の上から眺めて笑っている天狗さんがいるかもしれないね、と大吉だったおみくじ天狗に話しかけたのだ。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。
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