春の島旅 瀬戸内の船旅と山歩き
「男木島の水仙がきれいだって話よ。」
旅友からの連絡が入る。
大忙しの二月であるはずの彼女がそのように言うのなら、お伴しないわけにはいくまい。つまり気分転換をご希望ということなのだから。
それではと、さっそく島情報を調べてみれば、水仙まつりが始まっているとのこと。
だいたいこのような ↑ コースで島旅にチャレンジしようと相談して決めた。ちょうどお天気もよろしいよう。但し結構な山道ハイキングになるとのアドバイスも他所からいただいたので、足回りはしっかりと、手荷物にスティックなど入れて出発する。(これはたいそう助かった)
高松港で待ち合わせ、男木島までの往復フェリーチケットをゲットする。やはり同じような考えを持つ人々が大勢いて、結構な客数になっている。
本日の船内の混み具合から、お昼は早めに済ませた方がいいよね、と作戦会議を行う二人。島のお店の少なさと季節の観光客数のアンバランスは、くいっぱぐれ注意報発令中である。爽快な海旅を楽しみつつも、腹具合の問題解決を優先するのは、年季の入った旅経験のなせる技。アウエーでは、コンビニ、タクシー、バス、電車、自動販売機など普段当たり前にあるものが当たり前ではないことが多く、思わぬピンチに陥ることも少なくない。
途中「鬼の洞窟」がある女木島に寄港して、最終目的地男木島に向かう。笑い顔の鬼のオブジェが出航を見送ってくれた。
片道40分で目的の男木島に到着。船着き場の素敵な建物は、瀬戸内芸術祭の建築物らしい。その名も「男木島の魂」
さあ、これからが灯台目指してのハイキング。とはいえ、その先にお昼ご飯にありつける当てがなさそうなので、港近くで早めのランチにする。
開店まで少し店前で待って、二番目のお客さんで入店。海を眺めるカウンター形式のテーブルで景色と食事のダブル幸せを味わった。心身満足で、ハイキングもやる気満々の二人。
男木島はほとんどが山のような地形で、歩きも坂道が多く、木々は未だ冬の様子を残していた。進むにつれて高い場所に移るので、遠くの島や船影をその枝のあいだから楽しめる。
noterさんに、男木島の記事を書いている方がいらっしゃったので、その方の素敵な記事をご紹介する。↓
旅友コンビは、人影のない山道を、アレコレ近況報告や世間話などをしゃべりながらのんびりと歩いて行った。ようやく目的の灯台に到着。ここにきて、存外強めの海風が吹いていることに気づいた。
レトロな灯台をひととおり眺めて、隣接の資料館に入館する。
普段なじみのない灯台の豆知識があれこれと展示されていた。風よけの在る休憩にもなったので、大変助かった。一息入れて、次は最大目的の水仙郷へ。
ところが、ここからはより一層ハードな山道になっていった。年配の方々が段々とリタイヤされていくなか、どうにか最後まで進んだけれど、水仙の花はそれほど咲いていないので、「どこからか間違ったルートを通ったのではないか?」と自分たちを疑うことに。山の妖怪か何にたぶらかされたのかねえ?なんて不思議がりながら、港への下り道に戻った。結構な時間を費やしたので、人家エリアに入ったら、お茶タイムをしたくなった。
たまたま通りがかったスポットが、猫と夕日の家さん。
にゃんこさんたちが優雅に寝そべり、海が見えるテラスがあった。掲示されている携帯電話に連絡をいれて、ココアとコーヒーをお願いした。旅友さんは無類の猫好きなので、傍にあった猫じゃらしで若いにゃんことひとしきり遊んで大満足。お店の方のお話で水仙はまだそれほど咲いていないと判明し、謎は解けて、気分もすっきり。「まあ、水仙は自宅の庭にごっそり咲いているからいいけどね。」とした。そして、本日用意されていたお弁当などはあっという間に完売したらしい。早めのランチの答え合わせもできたというわけ。心残りがない旅はさっぱりと気持ちよい。
此処からすぐの神社にお参りしてから港に戻れば、ちょうど出航時間に早めに並べる。そう決めて、十分に堪能できた島旅のお礼の参拝に向かった。
それほど広くない境内に上からの道を伝ってこられた方々も集まり、結構賑やかな参拝になった。人が集まるのは、やはり此処からの眺めがよろしいからであろう。
ところで、此処の神社はどんな歴史があるのだろうか?帰宅して調べると興味深い記事が見つかった。↓
引用すると、↓
「おぎじま」・「めぎじま」という名称の由来は、それぞれ大姉の島ということから大姫島(おぎじま)、姪の島ということから姪姫島(めぎじま)と呼ばれるようになったものだといわれています
今では大きい島を男木島、小さい島を女木島の組み合わせになっているけれど、元はどちらも姫の島だったのだな、と。考えてみれば、海に先端が出ているので、「島」なのだけれど、海水面が低下すれば、山岳地帯であって、それぞれの島は山。山の神様は女神ということだから、そうでありなん。などと、またしても一人で勝手に納得するわたくしである。
そんな面倒なことは横にどけてしまい、本日の気軽な島旅ハイキングは、港付近のアート作品にも触れて、帰り船に無事乗船し帰着となった。
振り返ると、アートイベント開催時や夏の海水浴シーズンでも楽しい場所だろうけれど、早春の島旅の愉しさ、侮るべからず、である。だからこそ、島内では生活空間も密集しているので、しっかりとマナーを守り、くれぐれも島旅の注意事項を守ったうえで島の時空間を楽しんでいただきたいものである。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。