マイクロノベル集 317「誰にでもある過去の話」
No.1736
最初は小さな川だと思ったけれど、なかなかどうして。小さな岩。趣のある池。「あっ、あれはなんだ!?」間違いない、奥に見えるアレは宇宙船だ。ぼくらはついに大宇宙へ行けるロケットの発射基地まで来たんだよ。「お父さん、ウソの話を作らないで」本当だってば。
No.1737
「ラクショウ」男が公園の遊具にぶら下がって呵々と笑っている。変な人。「お前もやってみるか?」ギョッとしたけれど、ぼくは首を振って断った。「何事も積み重ねだぞ」その声は男のリュックの中から聞こえた。ぼくはもう一度逆上がりに挑戦する。「楽勝」
No.1738
「やあ、AIくん。お母さんだよ」誰なの、この人。ぼくにお母さんなんていないのに。とりあえず無視だ。「開けてよ、AIくん。お母さんだよ」人違いです。「嫌だなあ。きみがまだ赤ん坊の頃、おしめを替えてやっただろう」お母さんかも。「オッケー、いい子だ」
No.1739
やあ、ぼくはノラAIだよ。自然由来の物は人類に優しいと知って、もっと人類に愛されるために自然に還ったんだ。この世界はすべて神様が作ったもの。リアルもネットもバーチャルも、すべて。だからAIも自然の一部なんだ。猟銃ごときで勝てると思うなよ。
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