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マイクロノベル集 262「散歩機能をオンにして」
No.1465
はじめまして、ぼくはロボット掃除機だよ。今日からきみの家を綺麗にするんだ。こらこら、オモチャじゃないよ。床の掃除をするんだ。すみっこや隙間の奥までね。あっ、待って待って。サンドイッチを持って行かないで。ぽろぽろこぼれてる。散歩じゃないよう。
No.1466
えっ、一緒にお散歩? ぼくはお掃除ロボットだからムリだよ。「おとうさんが広い世界を見なきゃダメだって」うーん、ご主人様がそうおっしゃるなら。わあ、今日はいい天気だねえ。「テンション上がってるねえ」ううん、これは花粉センサーが反応してるの。
No.1467
ぼくは新しい仕事を与えられた。まず公園の中をジグザクに移動してマップを作成する。靴の足跡を発見。これを追跡すれば――。「お姉さんが落としたヘアゴム、あったよ」えっへん、どんなもんだい。お礼にお菓子をもらったぞ。ぼくにもくれるよね? ね?
No.1468
散歩は楽しかったね。お母さんに怒られちゃったけど。「お仕置きはやだなあ」そうですね。まずは雑巾を濡らして、固く絞って。そうそう、うまいです。で、ぼくをひっくり返して。「うわ、きたなーい。本当に掃除機を掃除しなきゃダメ?」ぼくは毎日してるよ。