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マイクロノベル集「ぬいぐるみの受難」
マイクロノベルNo.1912
「お母さんのスマホをかくしてね」ミキちゃん、それは無理だよ。だってぼくの背中のポケットには、さっきお父さんがヘソクリを隠したばかり。ああっ、スマホが鳴ってる! いま、近づいてきたお母さんがぼくの頭を……さようなら! みなさんさようなら!!
マイクロノベルNo.1913
「おつかれさま。手が届かないでしょう? 貼ってあげるね」ミキちゃんにシップを貼ってもらえるなんて、ぬいぐるみ冥利に尽きるなあ。えへへ。おや、お帰りなさい、お父さん。ずいぶんとお疲れですね。あっ、このシップは……やめて! 優しく剥がして~!!
マイクロノベルNo.1914
ぬいぐるみにとっての特等席。それはミキちゃんの膝の上! 「見てー。新しいぼうしを買ってもらったのよ」なんてこと! あのクマの帽子はいつもミキちゃんと一緒にいられるんだ。羨ましい! 「帽子は汗になったから洗おうね」ぬいぐるみでよかった。