マイクロノベル集 341「水を食らえ!」
No.1861
ひどい雨だね。傘にお入りなさい……と見せかけて、ブスリ! 僕はそのために作られたんだ。これほど大きい僕だもの。きっと敵は人類をひと飲みにするような巨人だね。そう思っていたのに、小さな人類が僕の傘に入ってきた。食いでがありそう? 何の話?
No.1862
水を飲まなきゃ生きられないなんて、人間は不便だなあ。よし、手伝ってあげよう。「なんと、こりゃうまい!」でしょでしょ。宇宙が誕生した瞬間からずっと水分子だった、ストイックな水を厳選したよ。「水道代がめちゃ高い!?」厳選するには量がいるからね。
No.1863
悪魔である俺を召喚したのはお前か。どうした、赤い顔をして。熱中症の一歩手前じゃないか! 馬鹿、アイスコーヒーは水分補給にならないぞ。ほら、涼しい喫茶店でレモネードをどうだ。最近、人手不足でね。はい、これ契約書。研修期間中は週四で入ってね。
No.1864
「キッチンの蛇口から流れ出た僕を見逃して」と、水が言った。どうしようかな。もうコップになみなみと注いでしまったあとなんだよ。とりあえず鼻うがいに使った。「呪ってやる~!」それ以来、俺がウォシュレットを使うと必ず水流の強さが最強になっている。
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