マイクロノベル集 155「カガク的な話」
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自動演奏ピアノの鍵盤を制御するのは横一列に並んだ水飲み鳥たち。気温や気圧で演奏が変化することから、奏でられる音楽は「自然の音楽」と呼ばれています。かつては猫が歩いても音が鳴ると貶された楽器ですが……ね、猫だぁ! 踏め、踏め!!
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落ち込まないで。悪魔がきみの悩みを科学で解決するよ。たとえば、カップに注がれたコーヒーの熱を一気に冷ましたり、海面と海底の温度差を利用して水をかき混ぜたり。きみが恋人と大げんかしたのも、ぼくが関係を冷ました上で混ぜっ返したからだよ。さあ。
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「ようこそ、恋の泉へ。二人でコインを投げて約千キロメートル先にある琵琶湖に落ちたなら、永遠に結ばれます。それでは宇宙船のゲートオープン!」そんな商売を始めたけど人工衛星が邪魔なんだよね。衛星軌道を結婚指輪に見立てた離婚式にした方がいいかな?
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どんな道具にAIを搭載するのがよいか、我々はアンケートを募りました。その結果、はさみが選ばれました。このAIはさみは切り絵が得意です。花、動物、空、海、宇宙が作り出されました。まだAIの複製こそ作れませんが、雨が降る前には解決するでしょう。