マイクロノベル集 337「人知を超えた? 戦い?」
No.1841
星が落ちたと聞いて駆けつけたら、荒れ地になっていた。「一足遅かったな、小僧」ややっ、お前は化け狸。「流星も、集まった人間も、みんな酒にして飲んじまったぜ」酔い覚ましの水はどうだ。「気が利くじゃ……おぇぇぇ」馬鹿め、それはお前のおしっこだ。
No.1842
インターネットでは人類以外の存在が戦っている。誰しもあるだろう? 「つい昨日読んだ発言が見当たらない」「この人って誰だっけ?」情報の消滅は、戦闘の被害。どれ、復活させておこう。ほ~ら、君のお父さんとお母さんが付き合い始めた頃の写真だよ~。
No.1843
木陰で雨宿りしていたら、雨だれに混じって声が聞こえた。「人間が言ってた。貯金だって」「ぼくらだってするよ。葉っぱに水を乗せて」「好きな時に飲めるものね」「あと、税務署もあるんだって」「なんだい、そりゃあ」木の幹を一撃。雨だれと一緒に、悲鳴。
No.1844
きみの新しい顔だよ。瞳が素敵なのさ。睫毛が長いなんてレベルじゃない。細胞の一つ一つを丁寧に作り込んだから、虹彩の輝きが切子細工のように美しい。バーチャル空間に読み込まれた瞬間、周囲の処理能力を独占するよ。きみの瞳に映った、ぼくに乾杯。