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マイクロノベル集/アニマル 014
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あの有名な怪獣がウェルシュ・コーギーに転生したんだって。なんて愛らしい。噛んだりしない? 「うん、もうそういう商売はやってない」それじゃあ失礼して撫でさせ……うわぁ! 噛もうとした!! どうしてぼくが鉄腕アトムの生まれ変わりだってバレたの!?
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手の届かない天井に帽子をかけるブックがついている。あれはアートなんだって。よかった。ぼくは目が悪いから、どれが自分の帽子かわからなくなっちゃう。あっ、おばあさん、帽子を取るのにお困りですか? ぼくは飛べるのでお手伝いしますよ。
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あんなのダメだよ。あれはただのマネっこさ、俺のね。オリジナリティが感じられない。……そう貶されていたぼくは、模倣を繰り返して成長した。ぼくはぬいぐるみのクマさん。人間は可愛いって言ってくれるよ。さあ、熊はなにを模倣するんだい?
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上空から獲物を狙うトビたちが人間に追い払われている。愚かだなあ。翼のある鳥だからって飛ぶ必要はないんだ。我ら賢いカラスは地面をチョコチョコ歩いて、さっと獲物を……い、犬だぁ! おたすけー!!
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ジョンが光っている。ちょっと待ってね。散歩したくなると身体が発光するんだ。「外に出たい気持ちがエネルギーとなり、体内で濃縮されて放射が――」むつかしいことはよくわからないけど、夜の散歩は楽しいね。