マイクロノベル集 314「お助けします」
No.1716
山が鮮やかに見えるときは気をつけなさい。山風が勢いよく吹き下ろして、塵やゴミを飛ばしたのさ。いつもとは空気が違うんだよ。空の道が綺麗になったら、あの方が歩いて来られるから、ご挨拶なさい。お前が困ったときに救ってくれるかもしれないお方だよ。
No.1717
ぼくたちに限界なんてないんだ! ぼくたちを縛るルールだってそうさ。上へ、上へ。高く、高く。そうだね、長いトンネルをくぐって、まだ見ぬ新しい世界に行くのも悪くないな。さあ、一緒に昇ろう! 「だめだめ、下りなさい!」どうして止めるの? あいた。
No.1718
食事中に黒猫が話しかけてきた。「狂った宇宙の修復作業、ご苦労だった。これは礼だ」綺麗な小石だね。でも、なんの話だい? 「アジのフライは美味かった。この礼は必ずする」猫は腹を見せて倒れる。「腹が減って動けないよぅ」猫の時間が逆行しているのか。
No.1719
捨てられたマグカップに猫が入っていた。「神である」首根っこをつまんだら胴が伸びた。妖怪かな。「我は量産型で無能なのでな。みな廃棄されたであろうな」泣かないで。僕は水筒に猫を移し入れてゴミ捨て場へ。みんな集めたら、きっと大きな神様になれるよ。
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