クルマを思うがままに操作する気持ち良さに魅了されて——名大自動車部
山の上グラウンドの裏手にクルマがずらりと並ぶガレージを発見。名大の体育会のなかでも異彩を放つ“自動車部”のメンバーが、車の整備に汗を流していました。彼らが整備していた車で出場する「七大戦」の自動車競技は9月5日、7日に開催されます。車を運転する楽しさにハマっている部員たちに、七大戦への意気込みや日頃の活動について聞きました。
大学生が車を所有!? 車好きやオトナの世界に憧れた学生が集まる
活動は主に金曜日の夕方。自慢の“愛車”に乗った部員たちが続々と集まり始めます。ガレージではエンジンの点検やタイヤ交換をするなど、大会に向けて整備していました。主将の土居龍也さん(工学部4年)は「僕たちが運転する車は中古車なので、整備・点検はマスト。車を運転する時間よりも整備している時間のほうが長いです」と、メンテナンスの重要性を話します。
新入生は入部後すぐに自動車学校に通い、夏休みには運転免許を取得。秋頃には、ほとんどの新入部員が車を購入します。先輩や他大学の自動車部などから格安で購入できるそうで、相場は10万円程度。学生には大きな出費ですが、アルバイトを頑張って何とかやりくりしています。土居さんは「レンタカー屋やトラックの運転手、車検のバイトを掛け持ちしています」と、車関係のアルバイトに就いています。
部員のヤズジュ勇志也さん(情報学部4年)は入部するまで車に興味はなかったとのこと。「部活紹介の冊子を読んでいたら、大学生なのに車を持っていて、競技にも出ているのに驚きました。なんか大人っぽくて良いなと思いました」と入部しました。4月に入部後、先輩から自動車競技や車について色々と教えてもらい、5月には車を購入。「初めてコースを走ったときに『運転上手だね』と先輩から褒められたのがうれしかった。いま思うとめちゃくちゃ下手だったので、先輩にその気にさせられたのですが(笑)」(ヤズジュさん)と、どんどん自動車競技の“沼”にハマったそうです。
社会人と一緒に「走行会」で運転技術を磨く
練習は、モータースポーツの専用コースや夏場のスキー場の駐車場を貸し切って開催される「走行会」で行います。OBや社会人レーサーが主催することもあり、週末に開催されていて、メンバーは月に1回程度参加しています。
走行会に2~3回参加しただけで、そのタイヤは競技で使えなくなるとのこと。「1回の交換で5~10万円の費用がかかり、大会では新品のタイヤを装着するため、走行会になかなか参加できないのが実情です。このためYouTubeなどで動画を観て研究したり、車内にカメラをセットして自身の運転の様子を分析したりして技術の向上を図っています。土居さんは「自分の運転を振り返ることが大切。上手なレーサーの動画と比較して、次に走る際の参考にしています」と、運転スキルの向上に余念がありません。
春に入部してしばらくは助手席に乗って、先輩からアクセルやブレーキの使い方など競技独自の運転方法を学びます。実際に練習を始めることができるのは秋ごろ。1、2年生のうちは試合で勝つことは難しく、上級生になってようやく上位争いできるようになります。競技が楽しくなってきた頃に卒業なので、社会人になっても競技を続ける方が多いとのこと。OBとのつながりが強いのも特徴のひとつで、今年の七大戦は名大主管ということで、たくさんのOBが運営を手伝ってくれるとのこと。
「自動車関係の仕事に就いているOBも多く、現役で競技に参加している方もいるため、走行会で一緒になったときにはアドバイスをもらっています」と話す土居さんも自動車関連企業への就職を志望していて、「社会人になっても競技は続けたいので、レーシングチームがある会社に入れればベストです」と将来をイメージしています。
最下位脱出!を目指して挑む「七大戦」
七大戦の自動車競技は、舗装されたコースを走る「ジムカーナ」と、舗装されていない土の上を走る「ダートトライアル」の2種目。どちらもタイムトライアルで、決められたコースをいかに速く走るかを競います。ジムカーナは「タイヤを滑らせない」ように無駄なく走ることが要求され、ダートトライアルは土の上なので「タイヤを滑らせて」“ドリフト”を多用するなどパワフルな走りが特徴です。
昨年大会で最下位に終わった名大チーム。土居さんはジムカーナで準優勝しましたが「ダートトライアルでは前日の豪雨によってできた冠水路に突っ込んでしまい、上位争いから脱落してしまいました」と、昨年大会を振り返ります。
今年の目標は最下位脱出。ヤズジュさんは、タイヤやブレーキなど足回りを一新し「去年と同じ車ですが、中身はまったくの別モノ。状態も良いので楽しみです」と、表彰台入りを目指します。
4年生の二人が学生として競技に参加するのは七大戦がラスト。有終の美を飾れるか、期待がかかります。
【追記】
七大戦 自動車・最終順位
1位 九州大学
2位 京都大学
3位 大阪大学
4位 東北大学
5位 北海道大学
6位 東京大学
7位 名古屋大学
主将、土居龍也さんの大会終了後コメント:
「目標の最下位脱却を達成することができず、とても悔しい結果に終わりました。6位とはわずか2ポイント差だったので、来年以降は後輩に頑張ってもらいたいです。また、七大学全体としても個人表彰に4年生が多かったので、各大学の後輩たちの活躍にも期待します」
▼▽▼七大戦についての紹介記事はこちら▼▽▼
<リンク>
・名古屋大学 公式ホームページ