休部から復活を遂げ、全国大会にも出場した名大ヨット部——強豪ぞろいの旧帝大への挑戦
海の上を大きく帆を張り帆走するヨット。オリンピックでは”セーリング”という競技名で実施されており、マリンスポーツの中でも歴史ある競技として知られています。
名大ヨット部は昨年「全日本学生ヨット選手権大会(全日本インカレ)」に出場するなど、近年実力をつけているクラブのひとつ。7月13日~15日に開催される七大戦に挑むヨット部の活動を紹介します。
休部からの復活。毎週末、合宿生活を送るヨット部
名大ヨット部には33名が所属。経験者は数名いますが、大学からヨット競技を始めた学生がほとんど。練習は毎週末、大学から60km以上離れた蒲郡市の「豊田自動織機 海陽ヨットハーバー」で行います。授業を終えた金曜日の夜に電車または車で乗り合わせて向かい、翌朝からの練習に備えます。土曜日は6時半に起床し、出艇準備をして8時半には海へ。夕方までしっかり練習を行い、日曜日も早朝から練習に励んでいます。ヨット部の松平晋之介さん(経済学部4年)は「平日は勉強とアルバイト、週末は蒲郡でヨット漬けの生活。メリハリがあって楽しいです」と充実した表情で答えます。
実は2013年からの4年間は部員ゼロで休部していた名大ヨット部。2017年に現在ヨット部の監督を務める田中將智さんが入部してから活動は再開し、徐々に部員数も増えていきました。そして、昨年秋の全日本インカレに13年ぶりの出場(スナイプクラス)を果たすなど、着実にチーム力をつけてきました。全日本インカレに出場した松平さんは「結果は13位でしたが、微風のときには全国トップレベルの選手とも渡り合うことができ、自信がつきました」と手応えをつかんだ様子。昨年からの良い流れは続いており、今年6月に開催された「中部学生ヨット個人選手権大会」では470クラス、スナイプクラスでそれぞれ3艇ずつ、「全日本学生ヨット個人選手権大会(9月開催)」への出場権を獲得しました。
強豪ぞろいの旧帝大に挑む七大戦
昨年の七大戦の成績は7位。旧帝大チームのレベルは高く、全国クラスの選手を擁する名大でも最下位という結果に。「七大戦は中部予選よりも厳しい戦いとなることが多く、全日本インカレの前哨戦的な位置づけです。今年は主管校なので、3位以内に入りたい」と目標を掲げています。
七大戦での注目選手は、470クラスに出場する林小夏さん(工学部3年)。高校時代にはインターハイ出場経験もあり「名大で一番の実力」と、松平さんも太鼓判を押します。今大会はエースの林さん、そしてラストイヤーとなる主将の松島良太さん(工学部4年)と松平さんのペア(スナイプクラス)に期待がかかります。
また、秋に開催される全日本インカレでの両クラス出場も目標のひとつ。松平さんは「秋の全日本インカレまで競技を続けたいですね。あとは毎年インカレに出場できるような強豪校になれるよう、今の一年生が引退するまでは卒業後もサポートを続けていきたい」と、後輩たちの育成にも力を注いでいます。
海上を疾走するヨット競技
ヨット競技はスタート地点から海上に設置されたマーク(ブイ)を周回し、そのスピードを競うスポーツ。帆に当たる風の力を利用して前進しますが、風上に向かって真っすぐ進むことはできません。ただし風上に対して約45度の方向へは帆走できるので、ジグザグと進行方向を変えながらヨットを走らせます。
ヨットには、舵を切ってスピードをコントロールする「スキッパー」と、コース決めや船体の重心バランスを調整する「クルー」のペアで乗り込みます。2人の合計体重は130kg程度が適正と言われており、2人の体重バランスなどを考慮してペアを決めるそうですが、「クルーが航路を決めて指示を出し、スキッパーが舵を切る。この動きをいかにスピーディーに行えるかが重要なので、普段から仲が良く円滑にコミュニケーションがとれるペアが強い」と松平さんは話します。
また、男女一緒に競技を行うのもヨット競技の特徴。風が強いときはヨットの傾きを修正するために体重が重いほうが有利になりますが、微風のときにはその重さがスピードに影響することも。男女で実力差がつかない稀有なスポーツといえます。松平さんは「ヨットに乗っているときの爽快感は最高です。あとは不条理な自然に対して、風などの気象情報を研究して”理屈“で立ち向かう感じが面白いですね」とヨットの魅力について語りました。
【追記】
七大戦 ヨット・最終順位
1位 東京大学
2位 九州大学
3位 京都大学
4位 東北大学
5位 名古屋大学
6位 大阪大学
7位 北海道大学
主将、松島良太さんの大会終了後コメント:
「目標の総合3位を逃してしまい、悔しい結果となりました。この悔しさをバネに日々の練習に取り組み、全日本学生個人選手権やインカレなどの全国大会では、雪辱を果たそうと思います。まずはインカレ予選突破できるよう両クラス頑張っていきますので、応援よろしくお願いします」
▼▽▼七大戦についての紹介記事はこちら▼▽▼
<リンク>
・名古屋大学 公式ホームページ