【全然集中しない呼吸】
博心堂鍼灸院の、いんちょです。
先週末おしゃべりで話題になったアニメーション「鬼滅の刃」。
原作は少年週刊誌に掲載されていたマンガとのこと。
男の子らしいまっすぐな主人公のさまを、僕もまとめて放送されたアニメーションを見て、ふむふむと様子を楽しませていただきました。
僕も普段から人のココロやカラダに巣食う「鬼退治」のようなことをさせていただいているので、なんだかちょっと共感することもあり。
※漫画ほどドラマチックではないのですが、ほんと、僕の日常ってこんなことなんだろうなぁって、想像を楽しませてもらったりしています。
実際、鍼灸師さん(僕です)が患者さんのカラダやココロに宿る「鬼退治(邪気の捌き(さばき)」をするとき、呼吸と型というものをとっても大事にしています。
まず、型というやつを備えておくと、技術にブレがなくなる。
型どおりにやっておけば、術者の体調やメンタリティに関係なく、一定のクオリティを保った技術が繰り出せるわけです。
これ、プロとしてはとっても大事なこと。
そもそも鍼施術って、術者の体力や元気度、感情のテンションというやつを全く除外したところで、威力を発揮します。
だから、アニメ「鬼滅の刃」に登場するようなドラマチックな呼吸法とか、ダイナミックな型っていうのは、全くないんですよね。
つまらないことながら。
とくに呼吸というやつは、アニメにあるような「全集中」っていうのとは、全く逆で「全然集中しない」呼吸をよしとします。
金具である針金を用いるのだから、それなりの緊張感っていうやつは、自然と備わるのですが、それ以上の気構えは邪魔でしかない。
それよりも、繰り出す技に対する集中力なんてものを発揮するなら、目の前の患者さんと患者さんの周囲の状況にこそ、意識の集中(この場合、意識の拡散、なんですけどね)が求められます。
一つのことに集中するのではなく、あらゆることに集中する=拡散する。
まんべんなく空間そのものと時間の経過に集中力というやつを発揮し続けることで、患者さんのつぶさな変化やカラダ風水の景色の移ろいを、術者の五感をフルに使いながら察し続けることができる。
そして一人の患者さんを診るためには、そのあとに続く10人の患者さんを立て続けに同じクオリティで見続けられるだけの集中力を、常に余力として残しておくことが、お仕事としての鍼灸師さんにとっては、とっても重要。
※続けて10人診ても、10人目の患者さんの次に10人いても大丈夫なように、最後の患者さんの施術が終わっても、疲れを残さないような技術とゆとりのある集中力が、鍼灸師さんには求められるわけですよ。
いつもご機嫌で、安心感のある鍼灸師さんでい続けるためにも、僕の呼吸は「全然集中しない呼吸」っていうやつを、維持し続けないとなぁって、こんなこともアニメを見ながら考えていましたとさ。
最後までお読みいただきありがとうございます。