ソウルは、わたしには合わない
「ソウルは、わたしには合わない。」
結婚してソウルに住むことになった私は、いつもそんなことを思っていた。いや、正確には今もこれからもきっとずっと、この街に生き続ける限りはそう思い続ける自信がある。
高いビル、見えない空、寒すぎる冬、変化の早すぎる街並み。立ち止まることを知らない人々、車のクラクション。
この街の合わない部分は、きっとこの先も変わることはないし変えようもない。
合わない街に生きる私は不幸なのか?
ふと最近、そんなことを考えた。
偶然なのか運命なのか。そういう巡り合わせで韓国人と出会って結婚した。もし、韓国人と結婚してなかったら私はきっとこの街に旅行でも来ようと思わなかったし、仮に来ることがあってもきっと一回きりだったと思う。
自分1人では魅力を感じなかった、感じることもなかっただろう街。
そう、それが私にとってのソウル。
合わない街に住む私。じゃあ私は不幸なのだろうか。
答えはノー。それは、絶対違うと言い切れる自信がある。
この街で生きる中で、合わないからこそ見つけたことや、出会った人、考え方、価値観。そういう偶発的に発見できたことをとても大切に思っているし、それこそが私のこの10年間の財産だと思う。
私はこの街が、今ちゃんと好きになっている。
だから残したい、私の大好きなソウルのことを
ちゃんと記録しておかなきゃと思った。変化の早いこの街で、変わってほしくないと願うものたちを。私の心が動いた瞬間を。合わないとか、好きとか嫌いとか、そういう簡単な言葉だけで片付くことじゃないんだもの。
咳が止まらなくて苦しかったときに食べたタッコムタン。韓国語がうまく話せなくて涙が止まらなかったときに飲んだカフェラテ。希望を感じたジャージー麺。ここにいていいんだよって思えたソウルの森。すっかり、魅力に取り憑かれた韓方薬のこと。
残していこう。K-pop、韓ドラやコスメ、そういうキラキラしたソウルじゃないこと。ちゃんとここにあるこの街の魅力を。
そう思って、始めてみることにしました!
日々出会うソウルの美味しいお店。居場所を作ってくれるカフェ。美しい風景。
マーケティングがうまい韓国の、マーケティングにまみれがちのガイドブックやSNSではなくて、10年間、この街で生きてきた私が本当にオススメしたいお店や街並み、商品たちを綴っていきます。
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