今日はオムライス
夕飯を考えるのが面倒だなと思ってしまう今日この頃、目が覚めてふと思いついたのはオムライスだった。
隣で寝息をたてている三男を起こさないように暖かい布団からそっと抜け出して、ヒヤリとした階段を降りてリビングのドアを開けた時には、オムライスが作りたいと思った。
冷蔵庫を開けて玉子の数を確認すると6個。お弁当の卵焼きを作ったら、残りは4個。
『足りないな』
今日は買い物に行かないつもりだった。その為に昨日、数日分の買い物を済ませていた。
『他のものにするか。どうしよう』
ご飯を温めている間に、もう一度、冷蔵庫を開ける。ドアポケットがカラカラと音を立てて、ケチャップの存在を教えてくれる。
『こっちも足りないな』
半分減ったケチャップは、バランスを崩して倒れている。あらゆる物が値上がりしてから、あると使いすぎてしまう調味料のストックはやめた。
必要なものを必要な分だけ。
だからふと思いついたメニューでなくても、あるもので作ればいい。
それは分かっている。
でも、、
「今日はオムライスにしよう」
そう口に出してからお弁当を作る。
そしていつもの朝が始まる。
*
長男の誕生日は毎年、オムライスだった。
ケチャップで書かれた文字を、スプーンでぐちゃぐちゃに混ぜて食べていた。
少し大きくなると、自分でヘビのような文字を書くようになった。
もう少し大きくなると、違うメニューを食べたいと言った。
それから、誕生日にオムライスを作らなくなった。
明日は大学共通テスト。
だから、多分、オムライスが作りたくなったのだ。
ただ、それだけの話。